【超入門】ジーニアス法はProject Cryptoの一部！2025年の暗号資産ニュースを5分解説

2025.09.08
読了時間目安 5分

2025年に入り、「Project Crypto」や「ジーニアス法（GENIUS Act）」といった言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。米国の暗号資産（仮想通貨）に対する姿勢が大きく転換し、新たな規制の枠組みが次々と打ち出されています。
「一体何が起きているのか？」そんな疑問や不安を抱える方も多いでしょう。この記事では、一連の動向の全体像を掴み、今後のデジタル金融の未来を読み解くために、最新情報を専門家の視点から分かりやすく解説します。

結論：米国は「規制による監視」から「ルールに基づく育成」へ舵を切った
- 理由：なぜ今、米国は暗号資産戦略を転換したのか？
「Project Crypto」と「ジーニアス法」の核心
- Project Crypto：部門横断で取り組む包括的プロジェクト
- ジーニアス法（GENIUS Act）：ステーブルコインに法的地位を与える
まとめ
参考・出典

結論：米国は「規制による監視」から「ルールに基づく育成」へ舵を切った

まず結論からお伝えすると、2025年の米国政府の一連の動きは、暗号資産に対するアプローチを、これまでの不透明な「監視と執行」から、明確な「ルールに基づく育成とリーダーシップの確立」へと大きく転換させたことを意味します。

これは、投資家や事業者にとって、不確実性が減少し、より安全で予測可能な市場環境が整備されることを示唆しています。

理由：なぜ今、米国は暗号資産戦略を転換したのか？

この大きな方針転換の背景には、主に3つの理由があります。

デジタル金融におけるリーダーシップの確保 ホワイトハウスは2025年1月23日、「デジタル金融技術におけるアメリカのリーダーシップ強化に関する大統領令」を発表しました。これは、急速に進化するブロックチェーン技術とデジタル資産市場において、米国が主導権を握るという強い意志の表れです。イノベーションを促進し、世界中の才能と資本を惹きつけるための明確な国家戦略が求められていました。
市場の急成長と投資家保護の必要性 暗号資産市場が成熟するにつれ、これまでの法的なグレーゾーンは、詐欺や市場操作といった不正行為の温床にもなっていました。SEC（米国証券取引委員会）は、この状況を打開すべく、通称「Project Crypto」と呼ばれる部門横断的な取り組みを開始。これは、投資家保護を最優先しつつ、技術革新を阻害しないバランスの取れた規制を目指すものです。
ステーブルコインがもたらす機会とリスクへの対応 特に米ドルにペッグされたステーブルコインは、決済手段としての可能性を秘める一方で、金融システムに影響を与えかねないリスクも指摘されています。この課題に正面から向き合ったのが、2025年6月17日に米国上院で超党派の賛成を得て可決され、7月18日に成立した画期的な法律「ジーニアス法（GENIUS Act）」です。

「Project Crypto」と「ジーニアス法」の核心

では、これらの動きは具体的にどのような内容なのでしょうか。

Project Crypto：部門横断で取り組む包括的プロジェクト

「Project Crypto」は、特定の一つの法律や規制を指す言葉ではありません。前述の大統領令を受け、SEC手動で財務省などの関係省庁と連携し、デジタル資産市場の健全な発展を促すための一連の施策の総称です。SECのポール・アトキンス委員長は、「トランプ大統領のビジョンを達成するため」に「Project Crypto」を立ち上げると述べており、大統領令は2025年1月23日に署名されています。

主な焦点：

管轄権の明確化： SECとCFTC（商品先物取引委員会）のどちらがどの暗号資産を監督するのか、長年の課題だった jurisdictional maze（管轄権の迷路）の解消を目指す。
執行方針の転換： これまでの「執行による規制（regulation by enforcement）」から脱却。テロ資金供与や麻薬取引などの明確な不正行為に焦点を当て、合法的なイノベーションは阻害しない方針へ。
情報開示の標準化： 投資家が十分な情報に基づいて判断できるよう、プロジェクトに関する情報開示（ディスクロージャー）のルールを整備する。

ジーニアス法（GENIUS Act）：ステーブルコインに法的地位を与える

2025年7月18日に成立したジーニアス法は、GENIUS法、GENIUS Actなどと表記されるのを見るかと思いますが、正式名称は「Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act」です。これは米国の暗号資産規制における歴史的な一歩と言え、米国の大手金融機関も迅速に動き始めています。

法律のポイント：

発行者にライセンス制を導入： 適格な準備金の保有を義務付け、信頼できる発行者のみがステーブルコインを運営できるようにする。ステーブルコインを発行できるのは、法案の制定時に許可された事業体で、条件をクリアしていれば申請ができ、その申請が通れば決済ステーブルコイン発行者になれます。
100%準備金制度の義務化： 発行されるステーブルコインは、物理通貨、米国債、レポ取引などの低リスク資産による1対1の準備金を保有する必要があります。さらに、発行者は準備金の構成について毎月公開報告する義務を負います。
消費者保護の強化： 利用者がいつでも額面通りの価値で換金できる権利を保障する。発行者が破綻した場合、ステーブルコイン保有者の請求権が他のすべての債権者より優先されます。また、誤解を招く広告の禁止や、法定通貨である・政府保証があるかのような虚偽の主張も禁じられています。

またGENIUS法を、「ビジネス視点」で解説している記事や、専門用語を一切使わずにニュースが理解できるように解説した初心者向けの記事もございますので、気になる方はぜひご覧ください。