【2025年最新】JPKI(公的個人認証)とは?金融DXを加速させる5つの民間導入事例

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近年、オンライン取引の拡大に伴い、確実な本人確認の重要性がさらに高まっています。そんな中、注目を集めているのがJPKI(公的個人認証サービス)です。政府主導のデジタル化推進により、金融業界をはじめとする民間企業での導入が加速しています。
本記事では、JPKIの仕組みから最新の導入事例まで、日本の本人確認DXの最前線をご紹介します。

JPKIとは?公的個人認証サービスの基礎知識

JPKIは、インターネット上で安全に本人確認を行うための公的な認証サービスです。マイナンバーカードに搭載された電子証明書を活用することで、対面での本人確認と同等レベルの信頼性をオンライン上で実現します。

この技術の最大の特徴は、マイナンバーカードのICチップに格納された「署名用電子証明書」と「利用者証明用電子証明書」という2種類の電子証明書を使い分けることで、高度なセキュリティを確保している点です。デジタル庁によると、これにより「なりすまし」や「改ざん」を防止し、安全な電子取引が可能になります。

従来の本人確認では、運転免許証やパスポートなどの身分証明書を目視で確認する必要がありましたが、JPKIを活用することで完全オンラインでの本人確認が実現します。特に犯罪収益移転防止法(犯収法)の「ル」方式に準拠した本人確認が可能となるため、金融機関やフィンテック企業にとって大きなメリットがあります。

「ル」方式とは?

犯収法施行規則6条1項1号ルに定められた、カード代替電磁的記録を用いた本人確認を指します。2025年6月の犯収法改正によって正式に認められたもので、マイナンバーカードの機能(電子証明書)のスマートフォンへの搭載(スマホJPKI)が進展したことを背景に登場しました。

eKYC標準化の動き:金融DXを支える基盤技術

eKYC(electronic Know Your Customer)は、オンライン上で本人確認を完結させる技術の総称です。日本では近年、このeKYCの標準化が急速に進んでおり、JPKIがその中核技術として位置づけられています。

2024年以降、金融庁とデジタル庁が連携し、eKYCの標準化ガイドラインを整備してきました。この動きにより、銀行口座開設、証券口座開設、ローン申込など、これまで対面や郵送が必要だった手続きが完全オンライン化される道が開かれています。

特に注目すべきは、スマートフォンでのマイナンバーカード読み取り機能の普及です。iPhoneやAndroid端末で直接マイナンバーカードの情報を読み取れるようになったことで、ユーザーの利便性が大幅に向上しました。これにより、銀行の窓口に行く時間がない忙しいビジネスパーソンや、地方在住で金融機関へのアクセスが限られている方々でも、スマホ一つで金融サービスにアクセスできるようになっています。

最新事例1:金融業界でのJPKI導入

日本住宅ローン株式会社は、同社が提供する「MCJフリーローン」の本人確認プロセスにJPKIを導入しました。デジタル庁の発表によると、この取り組みにより申込から契約までの時間が大幅に短縮され、顧客満足度の向上につながっています。

従来のローン申込では、本人確認書類の郵送や来店が必要で、審査開始まで数日かかることも珍しくありませんでした。しかし、JPKIを活用することで、申込から数時間以内に本人確認が完了し、スピーディな融資実行が可能になりました。

最新事例2:株式会社Liquidのスポットワーク業界向けソリューション

株式会社Liquid(ELEMENTSグループ)は、オンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」において、スポットワークプラットフォーム事業者向けの新プランを開始しました。

このサービスの特徴は、マイナンバーカードのICチップ読み取りを通じた求人企業の担当者や代表者の本人確認に加え、業界横断の不正検知や法人の実在性確認などを組み合わせたパッケージになっている点です。スポットワーク業界では、雇用のマッチングスピードが重要視されるため、迅速かつ確実な本人確認システムが求められています。

2025年11月からは、スマートフォンのマイナンバーカードによる本人確認にも対応しており、犯収法「ル」方式に準拠した本人確認を容易に実装できるとのことです。これにより、求職者と求人企業の双方が安心して取引できる環境が整備されつつあります。

最新事例3:セキュリティ強化に向けたパスキー連携

株式会社ELEMENTSは、個人認証ソリューションを活用したパスキーで口座の不正利用を防止する取り組みを発表しています。

パスキーとは、パスワードに代わる次世代の認証技術で、生体認証(指紋や顔認証)と暗号化技術を組み合わせることで、フィッシング詐欺やパスワード漏洩のリスクを大幅に低減します。JPKIとパスキーを組み合わせることで、初回の本人確認はマイナンバーカードで厳格に行い、以降のログインは生体認証でスムーズに行うという、セキュリティと利便性を両立したシステムが実現します。

金融業界では不正アクセスによる被害が年々増加しており、2024年には過去最高額を記録しました。このような状況下で、JPKIとパスキーを組み合わせた多層防御の仕組みは、金融機関にとって重要なセキュリティ対策となっています。

最新事例4:Apple Wallet対応による利便性向上

サイバートラスト株式会社が提供する「iTrust本人確認サービス」では、2025年9月より、Apple Walletに記録されたカード代替電磁的記録(iPhoneのマイナンバーカード)による本人確認を行う「mdoc検証サービスAPI」の機能提供を開始しました。

この機能により、物理的なマイナンバーカードを持ち歩かなくても、iPhoneさえあれば本人確認が可能になります。財布を忘れたり、カードを紛失したりするリスクが減り、より気軽に本人確認サービスを利用できるようになりました。

最新事例5:APIサービスによる導入障壁の低減

ポケットサイン株式会社は、JPKIを活用したAPIサービス「PocketSign Verify」において、iOSの「スマホJPKI」に対応しました。このようなAPI形式でのサービス提供により、民間企業は自社システムに比較的容易にJPKI認証機能を組み込むことができます。

デジタル庁によると、APIサービスの普及により、中小企業やスタートアップでもJPKI対応のシステムを低コストで導入できるようになってきています。これは、日本全体のデジタル化を加速させる重要な要素といえるでしょう。

JPKIがもたらす未来の本人確認

JPKIと民間企業の取り組みにより、日本の本人確認システムは大きな転換点を迎えています。政府のデジタル化推進と民間企業の技術革新が相乗効果を生み、より安全で便利なデジタル社会が実現しつつあります。

今後は、金融業界だけでなく、医療、教育、行政手続きなど、さまざまな分野でJPKIの活用が広がることが予想されます。マイナンバーカードの普及率も年々上昇しており、JPKIを利用できる環境が整ってきています。

企業にとっては、顧客体験の向上、業務効率化、セキュリティ強化という3つのメリットを同時に得られるJPKIの導入は、デジタル戦略における重要な選択肢となるでしょう。一方で、個人情報保護やシステムの安定運用など、解決すべき課題も残されています。

デジタル社会の基盤インフラとして、JPKIは今後ますます重要性を増していくことは間違いありません。民間企業の創意工夫と、政府の制度整備が両輪となって、安全で便利な本人確認の未来を切り開いていくことでしょう。


参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


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