RWAとは何か?ブラックロック参入で一変したトークン化金融の最前線

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RWA(Real World Assets:現実資産のトークン化)は、もはや概念や実証実験の段階を終え、金融インフラの一部として現実に使われ始めています。
ブラックロックやJPモルガンといった世界最大級の金融機関が相次いで参入し、米国・EUでは暗号資産およびRWAを前提とした規制整備が急速に進展しています。
いま起きているのは、単なる暗号資産市場の変化ではありません。
伝統金融とブロックチェーンが制度と実需のもとで融合し、金融の仕組みそのものが再設計される転換点です。
RWAを理解することは、暗号資産の行方を知るだけでなく、次の10年に金融がどのような形へ進化していくのかを読み解くことに直結します。

なぜ今、RWAがここまで注目されているのか

理由はシンプルです。「ブロックチェーンの効率性」と「伝統金融の信頼性」を、初めて現実的に融合できる段階に入ったからです。

これまで暗号資産は、「価格変動が大きい」「実体経済との接続が弱い」「規制が未整備」という課題を抱えていましたが、RWAはこれらを一気に解消する可能性があります

国債、MMF(マネーマーケットファンド)、不動産など実在する資産を裏付けにすることで、安定性・透明性・規制適合性を同時に実現できるからです。

具体例①:ブラックロック「BUIDL」が示した転換点

2024〜2025年にかけて、RWAの流れを決定づけた象徴的な事例が、ブラックロックのUSD Institutional Digital Liquidity Fund(BUIDL)です。これは世界最大級の資産運用会社が、自社のマネー・マーケット・ファンド(MMF)を本格的にブロックチェーン上へ移行させたケースの一つとして、大きな注目を集めました。

BUIDLは、Securitizeによってトークン化され、ファンド持分がデジタル証券としてオンチェーンで管理されています。その結果、従来のMMFでは不可能だった即時性・透明性・プログラマビリティを備えることに成功しました。実績面でもその影響力は明確です。

  • 運用資産残高(AUM)は10億ドルを突破
  • Binance、Crypto.com、Deribitといった主要暗号資産取引所で、実際の取引担保として採用
  • さらにBNB Chain上でも展開され、DeFi・CeFi双方との接続が進行

特に重要なのは、「トークン化されたMMFが価格参照資産ではなく、清算・証拠金の担保として機能している」という点です。

これは、トークン化資産が投資対象にとどまらず、金融市場の中核インフラに組み込まれ始めたことを示しています。もはやBUIDLは、将来性を測るためのパイロットプロジェクトではありません。トークン化MMFが、現実の金融取引において“使われる資産”として成立することを証明した事例であり、RWAが実証フェーズを完全に終えたことを象徴する転換点だといえるでしょう。

具体例②:JPモルガン、フランクリン・テンプルトンも追随

RWAの動きは、ブラックロック一社に限った例外的な取り組みではありません。
世界有数の金融機関が相次いで参入している点こそが、RWAが「一時的な流行ではない」ことを裏付けています。

代表的なのが、JPMorgan Asset ManagementとFranklin Templetonです。
JPモルガン・アセット・マネジメントは、同社として初となるトークン化マネー・マーケット・ファンド(MMF)を正式にローンチしました。この取り組みは、投資銀行としてブロックチェーン実験を重ねてきたJPモルガンが、資産運用ビジネスの中核商品にまでトークン化を拡張したという点で重要です。
単なる技術検証ではなく、「既存の運用商品をどう次世代インフラに適合させるか」という実務レベルの意思決定が行われています。

一方、フランクリン・テンプルトンはさらに踏み込んだ展開を見せています。同社はOnChain米国政府マネー・マーケット・ファンドを提供するだけでなく、投資家間でのP2P送金機能まで実装しました。これは、トークン化MMFを「保有する資産」から「移転・活用できる金融ツール」へと進化させた事例といえます。

これらの動きに共通しているのが、「パブリックチェーン × 規制順守 × 機関投資家」という明確な設計思想です。匿名性や無許可性を前提とした初期DeFiとは異なり、

  • 規制当局との対話を前提
  • 既存の投資家保護ルールを尊重
  • 機関投資家が安心して利用できる構造

を最初から組み込んでいます。

つまりRWAは、DeFiの延長線上にあるのではありません。
TradFi(伝統金融)そのものが、自らブロックチェーンを取り込み、内部構造を再設計し始めている段階に入ったと捉える方が実態に近いでしょう。

規制動向:米国は「ステーブルコイン」から攻めている

EUがMiCAによって暗号資産全体を包括的に規制しようとしているのに対し、米国はより現実的かつ段階的なアプローチを取っています。その象徴が、2025年に議論が進んでいるGENIUS法案(S.1582)です。

この法案は、暗号資産全体を一気に規制するものではなく、米ドル建てステーブルコインを金融インフラの中核として位置付け直すことに主眼を置いています。具体的には、以下の点が明確に整理されました。

  • 米ドル建てステーブルコインの法的位置付けを明確化
    ステーブルコインを曖昧な「暗号資産」として扱うのではなく、決済・清算に利用されるデジタルマネーとして整理し、その役割を制度上明確に定義しています。
  • 発行体に対する準備資産・監査・AML義務の明文化
    100%の準備資産保有、定期的な監査、マネーロンダリング対策(AML)などを義務付け、利用者保護と金融安定性を重視した設計となっています。
  • 銀行・非銀行発行体の役割分担を整理
    銀行が発行する場合と、非銀行事業者が発行する場合の監督体制を区別しつつ、それぞれに適したルールを設けることで、民間イノベーションと金融規律の両立を図っています。

このアプローチがRWAにとって重要なのは、多くのRWAプロジェクトがステーブルコインを「決済・清算レイヤー」として前提にしている点にあります。トークン化された国債やMMF、不動産持分などが実用段階に入るためには、価値が安定したデジタル通貨での決済が不可欠です。
つまり米国は、「まずはステーブルコインという土台を固め、その上にRWAやその他のトークン化資産を積み上げる」という現実的な順序で制度整備を進めているといえます。包括的な枠組みを先に固めたEUとは対照的に、米国は市場の実需が最も大きい領域から着実にルールを確定させており、この違いは今後のRWA展開地域や事業モデルにも大きな影響を与えるでしょう。

RWAがもたらす本質的な変化

RWAの本質は、「現実資産をブロックチェーンに載せる=トークン化」そのものにあるわけではありません。
真に重要なのは、その結果として金融取引の前提条件が書き換えられる点にあります。

従来の金融市場では、

  • 約定から決済までに数日を要する
  • 取引時間は市場ごとに制限される
  • 担保は用途ごとに分断され、流動性が固定化される

といった制約が当たり前でした。

RWAは、これらを同時に解消する可能性を持っています。具体的には、次のような変化が起き始めています。

  • 即時決済(T+0): トークン化された資産はオンチェーンで即時に移転・清算できるため、取引後の資金拘束やカウンターパーティーリスクを大幅に低減します。
  • 24時間365日の取引: 伝統的な市場時間に縛られず、グローバルで常時アクセス可能な取引環境が実現します。これは特に国境をまたぐ金融取引において大きな意味を持ちます。
  • 担保効率の向上: 国債やMMFといった低リスク資産を、複数の取引やプロトコルで担保として再利用できるため、資本効率が飛躍的に高まります。
  • グローバル流動性の統合: これまで市場・通貨・制度ごとに分断されていた流動性が、共通のブロックチェーン基盤上で接続され始めています。

こうした変化を総合すると、RWAは単なる新商品ではなく、金融市場そのものの「OS(基本構造)」を書き換える技術だと位置付けることができます。

この文脈では、DeFiとTradFiを対立軸で捉える発想自体がすでに時代遅れです。現在進行しているのは、「規制 × ブロックチェーン × 機関資本」が組み合わさることで生まれる、新しい金融アーキテクチャへの移行です。RWAは、その接合点として、次世代金融の基盤になりつつあります。

結論

RWAは、短期的なブームや暗号資産市場の循環的なトレンドではありません。制度設計の進展と、実際に使われ始めているという実需の両輪に支えられた、不可逆的な金融構造の変化です。
ブラックロック、JPモルガン、フランクリン・テンプルトンといった世界最大級の金融機関が参入し、EUや米国で明確な規制枠組みが整いつつある現在、RWAは「可能性を語る段階」をすでに通過しました。今問われているのは、RWAが普及するかどうかではなく、どの形で、どのプレイヤーが主導権を握るのかです。

今後の分水嶺となるのは、以下の3点です。

  • どのチェーン上で展開されるのかセキュリティ、スケーラビリティ、規制適合性を満たす基盤が選ばれるかどうか。
  • どの規制圏に属するのかEU型の包括規制か、米国型の段階的規制かによって、事業モデルや成長速度は大きく変わります。
  • どの資産クラスを扱うのか国債・MMF・不動産・プライベートクレジットなど、実需と制度が交差する領域が主戦場になります。

これらを見極める視点を持つことは、単に暗号資産やブロックチェーンを理解すること以上の意味を持ちます。
 RWAを理解することは、次の10年に金融がどのように設計され、誰が価値を生み出すのかを理解することに等しいのです。


参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


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本記事はAIツールの支援を受けて作成されております。 内容は人間によって確認および編集しておりますが、詳細につきましてはこちらをご確認ください。

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