PayPal「Pay with Crypto」完全ガイド：手数料90%削減×100種類暗号通貨

2025.08.12
読了時間目安 5分

2025年7月28日、オンライン決済の巨人であるPayPalが、仮想通貨（暗号資産）の利用を根底から変える可能性を秘めた新サービス「Pay with Crypto」を発表しました。数週間以内に米国のマーチャント向けに提供が開始される予定です。
「仮想通貨は持っているけど、使い道が少ない」「海外への送金手数料が高くて困る」
そんな悩みを解決するかもしれないこのサービス。「手数料が最大90%も削減される」「100種類以上の暗号通貨に対応する」と話題ですが、一体どのようなサービスなのでしょうか。また、新しい決済方法だからこそ、セキュリティ面での不安を感じる方も少なくないはずです。
この記事では、PayPalの「Pay with Crypto」がどのようなサービスで、私たちの日常生活やビジネスにどう影響するのか、そして最も重要なセキュリティ対策について、分かりやすく解説します。

PayPalの新常識「Pay with Crypto」の基本を理解する
- 主なメリット：なぜ「手数料90%削減」が可能なのか？
日常生活とビジネスはどう変わる？具体的な活用シーン
- 【個人利用】海外ショッピングや友人への送金がもっと身近に
- 【ビジネス利用】新たな顧客獲得とコスト削減を同時に実現
最も重要な「セキュリティ」は大丈夫？知っておくべき2つのポイント
- 1. 仮想通貨の価格変動リスクへの対策
- 2. 利用者が注意すべきこと
まとめ
参考・出典

PayPalの新常識「Pay with Crypto」の基本を理解する

まず、「Pay with Crypto」がどのようなサービスなのか、その核心から見ていきましょう。

「Pay with Crypto」は、一言で言えば「PayPalアカウントを通じて、保有している仮想通貨を支払いに直接利用できるサービス」です。

これまでの仮想通貨決済では、利用する前に一度、仮想通貨を日本円や米ドルのような法定通貨に交換（換金）する必要がありました。このプロセスには手間がかかるだけでなく、交換時に手数料が発生することが一般的でした。

しかし、「Pay with Crypto」では、決済時にPayPalが保有する仮想通貨を自動的に法定通貨に変換して支払ってくれるため、ユーザーは事前の交換手続きが不要になります。これにより、オンラインショッピングや個人間の送金が、これまで以上にスムーズかつスピーディに行えるようになるのです。

また、PayPalのPay with Cryptoは、以下の「100種類以上の暗号通貨」と「主要ウォレット」に対応・連携をするので、ユーザビリティが高いサービスと言えるでしょう。

対応暗号通貨：Bitcoin、Ethereum、Tether（USDT）、XRP、BNB、Solana、USDC等

対応ウォレット：Coinbase、MetaMask、Binance、Kraken、OKX、Phantom、Exodus等

主なメリット：なぜ「手数料90%削減」が可能なのか？

このサービスの最大の魅力として注目されているのが、「国境を越えた取引における手数料の最大90%削減」です。

なぜこれほど劇的な手数料削減が可能になるのでしょうか。その理由は、従来の国際送金の仕組みと、仮想通貨を使った送金の仕組みの違いにあります。

従来の国際送金: 複数の銀行（中継銀行）を経由するため、各所で手数料が上乗せされ、時間も数日かかることがありました。
Pay with Crypto: 銀行ネットワークを介さず、ブロックチェーン技術を活用して直接送金に近い形を実現します。これにより、中間コストが大幅に削減され、安価で迅速な決済が可能になるのです。

例えば、海外のECサイトで10万円の商品を購入する場合、従来の方法では数千円の手数料がかかっていたところが、「Pay with Crypto」なら数百円に抑えられる、といったインパクトが期待できます。

日常生活とビジネスはどう変わる？具体的な活用シーン

手数料が安く、スピーディになることは分かりましたが、具体的に私たちの生活はどのように変わるのでしょうか。個人とビジネス、それぞれの視点から活用シーンを見ていきましょう。

【個人利用】海外ショッピングや友人への送金がもっと身近に

海外ECサイトでの利用: これまで手数料が気になって躊躇していた海外のオンラインストアでも、気軽にショッピングを楽しめるようになります。

【ビジネス利用】新たな顧客獲得とコスト削減を同時に実現

「Pay with Crypto」が3兆ドル以上の市場に接続し、100以上の暗号通貨とウォレットをサポートすることで、マーチャントの収益機会を拡大し、「6億5000万人以上の世界中の暗号通貨ユーザー」を獲得する機会があります。具体的には、以下活用シーンが考えられます。

越境ECサイトの決済導入: 世界中の仮想通貨ユーザーを新たな顧客として取り込めます。「100以上の仮想通貨に対応」しているため、幅広い層にアプローチ可能です。
海外フリーランサーへの報酬支払い: 迅速かつ低コストで報酬を支払えるため、グローバルな人材活用がよりスムーズになります。

このように、「Pay with Crypto」はビジネス、特に越境ECを行うマーチャントに対して、お金のやり取りに関する時間とコストの制約を大きく取り払ってくれる可能性を秘めています。

最も重要な「セキュリティ」は大丈夫？知っておくべき2つのポイント

新しい決済サービスを利用する上で、誰もが最も気になるのがセキュリティです。特に仮想通貨と聞くと、価格変動の激しさやハッキングのリスクを心配する方も多いでしょう。知っておくべき重要なポイントを2つにまとめました。

1. 仮想通貨の価格変動リスクへの対策

「Pay with Crypto」の決済時に、PayPalが仮想通貨を法定通貨へ自動的に変換するため、ユーザーや加盟店は、仮想通貨の価格変動リスクを直接負う必要がありません。支払った瞬間、あるいは受け取った瞬間のレートで取引が確定するため、「支払い後に仮想通貨の価値が暴落して損をした」といった事態を避けられます。

2. 利用者が注意すべきこと

PayPalは「詐欺や個人情報の盗難」などについて注意喚起を行っています。いくら高いセキュリティを提供したとしても、私たち利用者自身の注意が不可欠です。特に注意すべきポイントを以下3つご紹介します。

フィッシング詐欺: PayPalを装った偽のメールやSMSには絶対に注意してください。公式アプリや公式サイトからログインする習慣をつけましょう。
パスワード管理: 強力なパスワードを設定し、二段階認証を有効にすることは、アカウントを守るための基本です。
リスクの理解: PayPalのプレスリリースにも記載がある通り、仮想通貨取引には本質的なリスクが伴います。サービスを利用する際は、利用規約や開示事項をよく読み、内容を理解した上で自己責任で利用することが重要です。