GENIUS法を「ビジネス視点」で5分で理解する|シティも参戦したステーブルコイン新時代

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以前、こちらの記事で専門用語を一切使わずにGENIUS法についてご説明しましたが、本記事では「ビジネス視点」で理解しておくべき要点を5分でご説明します!

世界を変える可能性を秘めた「GENIUS法」の全貌

2025年7月18日、米国で歴史的な法案が成立しました。「GENIUS法(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act)」です。ドナルド・トランプ大統領が署名したこの法案は、デジタル資産業界に大きな変革をもたらすものとして注目を集めています。

GENIUS法は、制定から18か月後、または主要連邦規制当局が最終規則を発行してから120日後のいずれか早い時期に施行されます。これにより、金融機関や企業には準備期間が与えられることになります。

GENIUS法が定める3つの重要な規定

GENIUS法の中核となるのは、以下の3つの規定です。

  1. 発行主体の制限「許可された決済ステーブルコイン発行者」以外の団体が米国で決済ステーブルコインを発行することを禁じています。これにより、誰でも自由にステーブルコインを発行できた状況から、厳格な管理体制へと移行します。
    ステーブルコインを発行できるのは、法案の制定時に許可された事業体で、条件をクリアしていれば申請ができ、その申請が通れば決済ステーブルコイン発行者になれます。外国の決済ステーブルコイン発行者でも、本法に匹敵する外国の規制および監督制度の対象であることなどの様々な条件を満たした場合に許可されます。
  2. 100%準備金制度の義務化:発行されるステーブルコインは、物理通貨、米国債、レポ取引などの低リスク資産による1対1の準備金を保有する必要があります。さらに、発行者は準備金の構成について毎月公開報告する義務を負います。
  3. 消費者保護の強化:発行者が破綻した場合、ステーブルコイン保有者の請求権が他のすべての債権者より優先されます。また、誤解を招く広告の禁止や、法定通貨である・政府保証があるかのような虚偽の主張も禁じられています。

国家安全保障とマネーロンダリング対策

GENIUS法は、単なる金融規制にとどまりません。すべてのステーブルコイン発行者は銀行秘密法の対象となり、効果的なマネーロンダリング防止プログラムの確立が義務付けられます。

具体的には、リスク評価、制裁リストの確認、顧客識別プログラムの実施が求められます。さらに、法的に必要な場合には、ステーブルコインを押収、凍結、または無効化する技術的能力を保持する必要があります。

米ドルの基軸通貨としての地位強化

GENIUS法のもう一つの重要な側面は、米ドルの国際的地位の強化です。ステーブルコイン発行者に米国債や米ドルでの資産裏付けを要求することで、米国債への需要を創出し、ドルの基軸通貨としての地位を強固にする狙いがあります。

金融機関の対応:シティグループの事例

GENIUS法の成立を受けて、米国の大手金融機関も迅速に動き始めています。特に注目すべきは、シティグループの対応です。シティグループは世界180以上の国と地域に約2億の顧客口座を有する世界有数のグローバルな金融機関です。そんな企業のCEOジェーン・フレイザー氏は、2025年第2四半期決算発表の中で、デジタル資産への取り組みについて詳しく語りました。

フレイザー氏によれば、シティは「Citi Token Services」という独自のデジタル資産ソリューションを展開しており、すでに4つの主要市場で稼働し、サービス開始以来数十億ドルの取引を処理 しています。特に興味深いのは、シティの戦略的アプローチです。同社は、ステーブルコインを既存の金融サービスの「破壊者」としてではなく、「補完者」として位置づけています。顧客が求めているのは、マルチアセット、マルチバンク、クロスボーダー、常時稼働のソリューション であり、これらのニーズに応えるためにデジタル資産技術を活用しているのです。

この2025年第2四半期決算発表は2025年7月15日に行われ、その3日後にGENIUS法が成立しましたが、この法律に対して「銀行がデジタル資産分野に、より容易に参加することを可能にする」ものとして「熱意を持って歓迎する」と述べています。2025年6月17日にGENIUS法(S. 1582)は米上院を通過しているため、これを受けてデジタル資産への取り組みを積極化していると言えるでしょう。

まとめ:デジタル金融の新時代へ

GENIUS法の成立は、米国がデジタル資産分野でのリーダーシップを確立しようとする明確な意思表示です。トランプ大統領が掲げる「米国を世界の暗号資産の首都にする」という目標に向けた重要な一歩となりました。この法案により、ステーブルコイン市場に明確な規制枠組みが導入され、消費者保護が強化される一方で、イノベーションの促進も図られています。金融機関は新たな機会を見出し、既にシティグループのような大手銀行が積極的な投資を行っています。

しかし、これは始まりに過ぎません。デジタル資産の世界は急速に進化を続けており、規制もそれに追いつく必要があります。GENIUS法が、より安全で革新的なデジタル金融システムの構築にどのように貢献していくのか、今後の展開が注目されます。


参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


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