CLARITY法案とは?GENIUS法との違いを徹底解説!

  • 読了時間目安 9分

2025年7月、トランプ大統領がGENIUS法(ステーブルコイン規制法)に署名し、米国初の連邦レベルでの暗号資産規制が誕生しました。そして今、議会は次なる重要法案「CLARITY(読み方:クラリティ)法案」の審議を進めています。この法案は、ステーブルコインだけでなく、あらゆるデジタル資産の包括的な規制枠組みを構築するものです。
これは、米国のデジタル資産規制は単なる海外ニュースではありません。グローバルな暗号資産市場において、米国の規制動向は世界標準を形成する可能性が高く、日本企業のWeb3戦略やグローバル展開にも直接的な影響を与えます。
本記事では、CLARITY法案の概要とGENIUS法との違いを明確に解説し、今後の展望についてお伝えします。

CLARITY法案とは何か

CLARITY法案(Digital Asset Market Clarity Act of 2025:デジタル資産市場明確化法)は、2025年5月に米国下院金融サービス委員会のフレンチ・ヒル委員長が提出した法案です。同年7月17日に下院を通過し、現在は上院銀行委員会で審議が進められています

この法案の最大の目的は、米国におけるデジタル資産規制の「管轄権の明確化」です。米国証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の間で長年続いてきた管轄権争いに終止符を打ち、どのデジタル資産がどの規制機関の監督下に置かれるかを法律で明確に定めることを目指しています。

上院銀行委員会のティム・スコット委員長は、2026年1月のマークアップ(法案審議)に向けた声明で、この法案について「CLARITY法案は、メインストリートの投資家保護、米国内でのイノベーション促進、そして国家安全保障の強化という3つの柱を実現するものだ」と説明しています
出典:Myth vs. Fact: The CLARITY Act(2026年1月13日)
https://www.banking.senate.gov/newsroom/majority/myth-vs-fact-the-clarity-act

CLARITY法案の主要な3つのポイント

  1. デジタル資産の明確な分類体系

CLARITY法案は、デジタル資産を「デジタルコモディティ(商品)」「証券」「ステーブルコイン」の3つのカテゴリーに分類します。この分類により、各資産がSECとCFTCのどちらの規制下に置かれるかが明確になります

デジタルコモディティは、ブロックチェーンネットワークの利用から価値を得る資産と定義され、主にCFTCの管轄下に置かれます。一方、証券的な性質を持つトークンはSECの監督を受けます。

  1. 新しい登録制度の創設

法案は、デジタルコモディティ取引所(DCE)、デジタルコモディティブローカー、デジタルコモディティディーラーという新たな事業者カテゴリーを設け、CFTCへの登録義務を課します。これにより、現在の規制の曖昧さから生じる「執行による規制」から脱却し、明確なルールに基づく事業運営が可能になります。

  1. DeFi(分散型金融)と開発者の保護

CLARITY法案の特筆すべき点は、分散型金融(DeFi)プロトコルと開発者に対する明確な保護規定を設けていることです。顧客資金を管理しないソフトウェア開発者は、金融仲介者として扱われません。また、自己管理(セルフカストディ)の権利も明確に保護されています

GENIUS法とは何か

GENIUS法(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act:米国ステーブルコインのための国家イノベーション指針・確立法)は、2025年7月18日にトランプ大統領が署名し、成立した米国初の連邦ステーブルコイン規制法です。

この法律は、「ペイメントステーブルコイン」と呼ばれる、法定通貨(主に米ドル)に価値が固定されたデジタル資産の発行・運営に関する包括的な規制枠組みを確立しました。

GENIUS法の核心的要素

  1. 100%準備金要件

GENIUS法は、すべてのステーブルコイン発行者に対し、発行額と同額の準備金を米ドルまたは短期米国債などの流動性の高い資産で保有することを義務付けています。この「1対1」のバッキング要件により、消費者保護が強化されます。

  1. 連邦・州のデュアル規制構造

ステーブルコインの発行者は、連邦(OCC等)による認可か、州による認可のいずれかの枠組みを選択して事業を行えます。この二重構造により、イノベーションの促進と全国的な規制の整合性が図られています。

  1. 米ドルの国際的地位強化

準備金を米国債で保有することを義務付けることで、GENIUS法は米国債への需要を創出し、ドルの基軸通貨としての地位強化にも寄与します。ホワイトハウスのファクトシートでは、この法律が米国を「デジタル資産分野で議論の余地のないリーダー」に位置付けるものだと説明されています。

CLARITY法案とGENIUS法の違い:5つの観点から比較

両法案は米国のデジタル資産規制を形成する重要な法律ですが、その範囲と焦点は大きく異なります。

1. 規制対象の範囲

GENIUS法は「ペイメントステーブルコイン」の発行や準備金規制に特化した法律です。一方、CLARITY法案はステーブルコインを「デジタルコモディティ」の定義から除外し、それ以外のデジタル資産市場の管轄権や取引ルールを定める枠組みです

簡単に言えば、GENIUS法は「デジタル版の紙幣」であるステーブルコインのルールを定め、CLARITY法案はデジタル資産市場全体の交通ルールを定めるものです。

2. 規制機関の役割

GENIUS法では、連邦準備制度理事会(FRB)、OCC、FDIC(連邦預金保険公社)、および州規制当局がステーブルコイン発行者を監督します。

CLARITY法案では、SECとCFTCの管轄権を明確に線引きし、デジタルコモディティはCFTC、証券性のあるトークンはSECという分担を確立します。また、両機関による共同諮問委員会の設置も規定されています。

3. 消費者保護のアプローチ

GENIUS法は、準備金要件、月次開示義務、第三者監査、そして発行者破綻時のステーブルコイン保有者優先という具体的な保護措置を設けています

CLARITY法案は、SECへの開示義務、インサイダーによる市場操作の禁止、反脱法規定など、より広範な投資家保護の枠組みを構築します

4. 違法金融対策

両法案ともに、マネーロンダリング防止(AML)やテロ資金供与対策(CFT)への対応を重視しています。GENIUS法は発行者に銀行秘密法(BSA)の適用を明確化し、CLARITY法案は上院銀行委員会の説明によると、デジタル資産に関して議会が検討した中で最も強力な違法金融対策の枠組みを含んでいます。

5. 立法状況

GENIUS法は既に成立した法律であり、2027年1月18日(または規制発効後120日のいずれか早い日)から施行されます。一方、CLARITY法案は2026年1月時点で上院審議中であり、修正案が提出されるなど、最終形は変わる可能性があります。

両法案の関係性:補完的な二つの柱

GENIUS法とCLARITY法案は、競合するものではなく、補完的な関係にあります。

GENIUS法がステーブルコインという「決済手段」のルールを確立したことで、CLARITY法案はそれ以外のデジタル資産(ビットコイン、イーサリアム、その他のトークンなど)の取引や発行に関するルールを整備する役割を担います。

両法案が成立すれば、米国における暗号資産の包括的な規制枠組みが完成し、伝統的な金融機関のデジタル資産市場への参入が加速すると予測されます。
実際、GENIUS法成立後、JPモルガンやシティグループなどの大手金融機関がステーブルコイン市場に参入する動きが報じられています。CLARITY法案が成立すれば、より広範なデジタル資産への機関投資家の参入が期待されます。

日本企業への示唆:グローバル戦略における考慮点

米国のデジタル資産規制は、日本企業にとって3つの観点から重要です。

  1. グローバル展開の法的環境整備

米国市場でのデジタル資産ビジネスを検討する日本企業にとって、CLARITY法案の成立は参入障壁を下げる可能性があります。明確な規制があることで、コンプライアンス体制の構築が容易になるためです。

  1. 国際規制標準への影響

米国の規制枠組みは、EUのMiCA(暗号資産市場規制)と並んで、国際的な規制標準を形成する可能性があります。日本の金融庁の今後の規制アップデートにも影響を与える可能性があるため、動向を注視する価値があります

  1. 競争環境の変化

規制明確化により、米国企業のデジタル資産事業参入が加速する可能性があります。グローバル市場における日本企業の競争力維持のためにも、米国規制の理解は欠かせません。

今後の展望:2026年の注目ポイント

2026年1月現在、CLARITY法案は上院銀行委員会でのマークアップを控えています(2026年1月15日実施予定だったが14日に延期を発表)。今後の審議では、以下の3点が焦点になると見られています。

  1. DeFi規制の詳細

分散型金融プラットフォームへのAML/CFT義務の適用方法について、さらなる議論が予想されます。

  1. インセンティブ報酬の明確化

CLARITY法案は、マイニングやステーキング等による「エンドユーザーへの配布(報酬)」を定義し、これらが証券の募集や販売には当たらないと明記されています。これにより、ネットワーク維持活動に伴う報酬の法的扱いに関する不確実性が解消されます。

  1. 政府関係者の規律確認

CLARITY法案第111条は、既存の倫理規定に基づき、国会議員や政府高官によるデジタルコモディティの「発行」が禁止されていることを明文化しています。

CLARITY法案は、上院通過後、下院版との調整(両院協議会)を経て、最終法案が大統領に送られます。これまでのトランプ大統領の暗号資産、ステーブルコイン関連の動きを見ると、2026年中間選挙前の成立を目指すのではないかと予測しています。

まとめ

CLARITY法案は、米国のデジタル資産市場に包括的な規制の透明性をもたらす重要な法案です。既に成立したGENIUS法がステーブルコインの「支払い手段」としての規制を確立したのに対し、CLARITY法案はデジタル資産市場全体の「取引ルール」を明確化します。

両法案の関係を一言で表すなら、GENIUS法は「デジタルマネーのルール」、CLARITY法案は「デジタル資産市場の交通法規」と言えるでしょう。

日本のビジネスパーソンにとって、これらの法案の動向を理解することは、グローバルなデジタル資産戦略を検討する上で不可欠です。今後の上院審議の行方に注目が集まります。


参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


AI利用について

本記事はAIツールの支援を受けて作成されております。 内容は人間によって確認および編集しておりますが、詳細につきましてはこちらをご確認ください。

TOP
TOP