AI犯罪889%増!AML誤検知90%時代の対策とは?最新動向から解説

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金融犯罪の手口は年々巧妙化しており、従来型のコンプライアンス対応では追いつかない時代に突入しています。AI技術を活用した新世代のAML(Anti-Money Laundering:資金洗浄対策)ソリューションが続々と登場し、金融機関のリスク管理体制に大きな変革をもたらしています。
本記事では、グローバルで進むAML革新の最前線と、日本のビジネスパーソンが押さえておくべきポイントを解説します。

金融犯罪の脅威が急増、AI悪用が889%増加

金融犯罪は、もはや国家安全保障と経済安定性に関わる重大な問題となっています。ComplyAdvantage社の発表によれば、AI技術を悪用した金融犯罪は過去2年間で889%増加しました。この急激な増加は、従来のコンプライアンスツールの検知能力を大幅に上回るペースで進行しています。

特に深刻なのは、現行のAMLシステムが生成するアラートの90%以上が誤検知(フォールス・ポジティブ)であるという問題です。これにより、年間推定1,000億ドル(約15兆円)もの無駄な業務コストが発生していると試算されています。犯罪者がAIを駆使して検知を回避する一方、金融機関は膨大な誤報対応に追われるという「非対称な戦い」が続いているのが現状です。

エージェント型AIがAML業務を革新

こうした課題に対応するため、2025年は「エージェント型AI(Agentic AI)」を搭載したAMLプラットフォームが相次いで登場しました。エージェント型AIとは、単なる質問応答ではなく、自律的に学習し、行動し、適応する能力を持つAIシステムを指します。

主要プラットフォームの動向

  • ComplyAdvantage「Mesh」:2025年10月発表のAIネイティブプラットフォーム。顧客スクリーニング、取引監視、リアルタイム決済分析を統合。誤検知を70%削減し、調査時間を最大84%短縮
  • Oracle Investigation Hub:生成AIによる調査ナラティブ作成機能を搭載。AIエージェントが証拠収集、意思決定推奨、報告書作成を自動化。
  • Oracle ASCクラウドサービス:AMLシナリオチューニングを自動化。OCC、FinCEN、FINTRACなどの規制要件に対応。
  • Fenergo FinCrime OS:本人確認(ID&V)をネイティブ統合。AIエージェントが書類分類99%精度、スクリーニング50%自動解決、データタスク79%自動完了を達成

日本市場における注目すべき動き

日本においても、AML・コンプライアンス分野で重要な進展がありました。2025年11月、JPYC社が発行する円ステーブルコインが、金融庁(FSA)から国内初の承認を取得しました。この承認は、Elliptic社のAMLソリューションによるウォレット・取引スクリーニング機能がコンプライアンス基盤として機能したことが大きな要因とされています

JPYC社のCEO岡部典孝氏は「ステーブルコインの社会実装には、技術的セキュリティと並んで法的コンプライアンスと透明性の確保が極めて重要」と述べており、今後の国際送金や企業間決済、DeFi分野での活用拡大が期待されています。円は国際決済で4番目に使用される通貨であり、円ステーブルコインがクロスボーダー決済において重要な役割を果たす可能性があります

押さえるべき5つのポイント

  1. AIネイティブへの転換:既存システムへのAI追加ではなく、AIを基盤として設計されたプラットフォームが主流に。導入検討時は「AI後付け」か「AIネイティブ」かを確認。
  2. 誤検知削減の重要性:90%以上の誤検知は年間約15兆円規模のコスト要因。70%以上の誤検知削減が可能なソリューションを選定基準に。
  3. 複数法域対応:グローバル展開する企業は、OCC、FinCEN、FATF、EU AMLDなど複数の規制に同時対応できるプラットフォームが必須。
  4. 暗号資産・ステーブルコイン対応:円ステーブルコインの承認に見られるように、暗号資産領域のAML対応は今後の必須要件。
  5. 説明可能なAI:規制当局への説明責任を果たすため、AIの判断根拠を明示できる「説明可能なAI」機能の有無を確認。

まとめ

AML分野は、エージェント型AIの登場により大きな転換点を迎えています。ComplyAdvantage、Oracle、Fenergoといったグローバルプレイヤーが次々とAIネイティブなソリューションを投入し、誤検知削減・業務効率化で顕著な成果を上げています。日本においても、JPYCの円ステーブルコイン承認に見られるように、暗号資産分野でのAML対応が現実のビジネス課題となっています。

金融犯罪対策は「コストセンター」から「競争優位の源泉」へと変化しつつあります。適切なAMLソリューションの選定と導入は、規制対応だけでなく、顧客オンボーディングの迅速化やオペレーション効率化を通じて、ビジネス成長を加速させる戦略的投資として位置づけるべきでしょう。


参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


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