【2026年1月版】フィンテック業界激動|Apple Card移管・Swift革新・投資回復の全貌

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フィンテック(金融テクノロジー)業界は数年間続いた調整期を経て、再び成長軌道に乗り始めています。2025年、グローバル投資額は前年比21%増の530億ドルに達し、デジタル決済、ブロックチェーン、AI活用といった領域で革新的な動きが相次いでいます。
日本のビジネスパーソンにとって、こうした海外フィンテック動向の理解は、自社の事業戦略やデジタルトランスフォーメーション(DX)推進において不可欠な知見となります。
本記事では、2025年のフィンテック業界における5つの重要トレンドを、具体的な事例とともに解説します。

1. グローバルフィンテック投資:回復基調と「質」への転換

投資総額530億ドル、5,918件のディールを記録

Innovate Financeが発表した最新レポートによれば、2025年のグローバルフィンテック投資総額は530億ドルに達し、5,918件の取引が成立した。これは2024年と比較して21%の増加であり、2021年以降続いた投資縮小トレンドからの転換点といえます。

特筆すべきは投資の「質」の変化である。単純な取引件数の増加ではなく、収益性の高い事業モデルを持つ企業への集中投資が顕著となっていることです。Illuminate FinancialのMark Beeston氏は「投資家は成長率よりも持続的な収益ポテンシャルを重視するようになった」と分析しています。
出典:
Innovate Finance:FinTech Investment Landscape 2025(2026年1月8日)
https://www.innovatefinance.com/capital/fintech-investment-landscape-2025/

地域別投資ランキング:米国首位、英国が2位を奪還

地域別では、米国が251億ドル(2,449件)で圧倒的首位を維持。英国は36億ドルで2位に返り咲き、インド(34億ドル)が僅差で3位に続きました。注目すべきは、UAE(アラブ首長国連邦)が暗号資産取引所Binanceの20億ドル調達により、25億ドルで世界4位に躍進したことです。

以上のことから、日本企業にとっての示唆として、投資資金が集中するセクター(決済、暗号資産、SME向けバンキング)への事業展開や提携戦略が有効と考えられます。

2. デジタル決済インフラの大型再編:Apple Card発行体変更の意味

Chase銀行がApple Cardの新発行体に

2026年1月7日、Appleとチェース銀行(JPMorgan Chase)は、Apple Cardの発行体がGoldman SachsからChaseへ移管されることを発表した。移行完了までの期間は約24カ月を見込んでいます。そして、Mastercardは引き続き決済ネットワークとして維持されます。

AppleのJennifer Bailey副社長(Apple Pay・Apple Wallet担当)は、「Apple Cardは革新的なツールを通じて、ユーザーがより健全な金融判断を行えるよう支援してきた」と述べてました。
出典:
Apple(Apple Newsroom):Chase to become new issuer of Apple Card(2026年1月7日)
https://www.apple.com/newsroom/2026/01/chase-to-become-new-issuer-of-apple-card/

3. Swiftのブロックチェーン戦略:デジタル金融の相互運用性実現へ

トークン化債券の決済試験が成功

国際銀行間金融通信協会(Swift)は、BNP Paribas Securities Services、Intesa Sanpaolo、Societe Generale – FORGEとの協力により、デジタル資産の相互運用性に関する画期的な試験を完了しました。この試験では、トークン化された債券の交換・決済が、法定通貨とデジタル通貨の両方を使用して実現されました。

SwiftのTokenised Assets Product Lead、Thomas Dugauquier氏は、「この成果は、従来の金融と新興テクノロジーの架け橋を作ることについてのものだ」と語っています。
出典:
Swift:Swift takes bold steps to unlock the benefits of digital finance on a global scale(2026年1月15日)
https://www.swift.com/news-events/news/swift-takes-bold-steps-unlock-benefits-digital-finance-global-scale

ブロックチェーンベースの共有台帳をインフラに追加

Swiftは、試験の成果を踏まえ、自社の技術インフラにブロックチェーンベースの台帳を追加する方針を発表しています。この台帳は当初、リアルタイム24時間365日のクロスボーダー決済の実現に焦点を当て、世界30以上の銀行と共同で設計が進められていました。

金融業界では、複数のブロックチェーン、独自プロトコル、孤立した決済システムが「デジタルアイランド」として乱立し、非効率性や流動性の分断を招いています。Swiftの取り組みは、こうした断片化を解消し、既存のレールと新興のデジタルエコシステムを統合する「中立的なオーケストレーター」としての役割を果たすものです。

4. 決済規制の新展開:英国PSRのクロスボーダー手数料上限権限が確認

高等法院がPSRの規制権限を支持

2026年1月15日、英国高等法院(High Court)は、決済システム規制機構(PSR)がクロスボーダーインターチェンジフィー(国境を越えるカード決済手数料)に上限を設定する権限を持つことを確認する判決を下しました。

PSRのDavid Geale氏(Managing Director)は、「高等法院の決定を歓迎する。これにより、クロスボーダーインターチェンジフィーが適切な水準に設定されることを確保するための作業を進めることができる」と述べています。
出典:Payment Systems Regulator(PSR):High Court backs PSR’s powers to cap cross-border card fees(2026年1月15日)
https://www.psr.org.uk/news-and-updates/latest-news/news/high-court-backs-psr-s-powers-to-cap-cross-border-card-fees/

企業コスト削減への影響

この判決は、カード決済コストが英国企業と消費者にとって公正であることを保証する権限をPSRが維持することを意味します。特に、海外のオンラインショップからの購入時に発生する高額な手数料の是正が期待されています。

日本企業への示唆として、欧州市場でのEC事業展開においては、こうした規制動向が決済コスト構造に影響を与える可能性があり、注視が必要です。

5. 2026年の展望:AI・ステーブルコイン・組み込み型金融の3軸

注目すべき投資テーマ

2026年に向けて、業界専門家は以下の領域への投資加速を予測しています。

AIネイティブな金融インフラ:Augmentum FintechのCEO、Tim Levene氏は「AIネイティブなチームが前例のない効率性でプロダクトアップデートを提供し、イノベーションのスピードを根本的に再定義している」と指摘しました。AIを活用した引受業務、オペレーションインフラへの投資が継続的に増加する見込みです。

ステーブルコインの成熟:Levene氏はまた、「2025年が主流採用の始まりを示した一方、2026年には厳密な機関向けユースケースが出現する」と予測。Apisの共同創設者兼マネージングパートナー、Udayan Goyal氏によると、B2B決済レール、カストディ、コンプライアンス、トレジャリーツールへの投資が活発化すると見られます。

組み込み型金融(Embedded Finance)のB2Bシフト:Apis Partners共同創業者のUdayan Goyal氏は「組み込み型金融は消費者向けからSME向けへとターゲットを移行させ、非金融プラットフォームと提携するフィンテックへの資金流入が増加する」と分析しています(出典:Innovate Finance “FinTech Investment Landscape 2025″)。

まとめ:日本企業が取るべきアクション

2025年のフィンテック動向から、日本企業が考慮すべきポイントは以下の通りです。

パートナーシップ戦略の再考:Apple CardとChaseの提携事例が示すように、テクノロジー企業と金融機関の連携モデルは今後も主流となる。自社の強みを活かした戦略的提携先の選定が重要です。

デジタル資産インフラへの対応準備:Swiftのブロックチェーン統合は、従来の金融インフラとデジタル資産の境界線が曖昧になりつつあることを示しています。クロスボーダー決済や証券決済のデジタル化への対応準備が求められます。

規制動向のモニタリング強化:英国PSRの事例のように、各国の規制当局は決済手数料やデータプライバシーに関する介入を強化しています。グローバル展開を検討する企業は、主要市場の規制動向を継続的に監視する体制が必要です。

AI投資の優先順位付け:フィンテック投資においてAI活用は必須要件となりつつあります。自社の業務プロセスにおけるAI導入領域を特定し、段階的な投資計画を策定することが競争優位の確保につながるでしょう。


参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


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本記事はAIツールの支援を受けて作成されております。 内容は人間によって確認および編集しておりますが、詳細につきましてはこちらをご確認ください。

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