【Slack・Salesforce利用者必見】OpenAI×Google連携「Agentforce 360」で実現するDX推進の全貌

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2025年10月、SalesforceはDreamforce 2025で「Agentic Enterprise(エージェンティック・エンタープライズ)」というビジョンを発表し、企業のDX推進に大きな転換点をもたらしました。
Agentic Enterpriseとは、AIが人間を置き換えるのではなく、人間と協働して生産性、意思決定、顧客信頼を向上させる新しい企業モデルです。DX推進を模索している企業や、SalesforceとSlackを既に活用している場合は特に、この動きは見逃せない重要な変化といえるでしょう。

なぜ「Agentic Enterprise」がDXに有効なのか?

従来のAI活用は、主に作業の効率化やデータ分析に留まっていました。しかし、人々は個人の生活で高度な大規模言語モデルを使っているにもかかわらず、職場では同じレベルの機能が提供されていないという「エージェンティック・ディバイド」が広がっているという課題があります。
またDXが止まる要因として、(1) ツールとデータの分断、(2) AIの精度・ガバナンス不安、(3) 定着しない“PoC止まり”、ということが挙げられています。そんな中、Agentforce 360は以下3つの特徴で解消します。

  1. 統合基盤(Data 360/Customer 360/Slack)で“信頼できるデータ”に基づく実行
  2. ハイブリッド推論ガードレールで誤動作を抑えつつ自律実行
  3. SlackファーストのUIで“現場の流れの中”にエージェントを常駐

たとえばAgentforce Sales/Service/IT Serviceが会話から直接アクションし、VoiceBuilderで開発・運用を簡素化。公開情報では、導入企業の解決率・応答時間の改善事例も示されています(例:ケースの自動解決、時間短縮など)。

さらにSalesforce CEOのMarc Benioff氏は「Agentforce 360が人間、AIエージェント、データを1つの信頼されたプラットフォーム上で接続し、すべての従業員とすべての企業が想像以上の成果を上げられるよう支援する」と述べています。

Agentforce 360:企業AIの新基盤

4つの核となる要素

Agentforce 360は、Agentic Enterpriseを実現するための4つの要素で構成されています。

  1. Agentforce 360プラットフォーム:エンタープライズグレードAIエージェントの基盤
  2. Data 360:すべてのエージェントにコンテキストを提供する統合データ層
  3. Customer 360アプリ:企業のビジネスロジックと制度的記憶を保持
  4. Slack:人間とエージェントが協働する会話型インターフェース

この統合アプローチにより、企業は信頼されたガバナンスされたデータに基づいたエージェントを展開し、チームやワークフローを横断して作業し、SlackでAIエージェントと人間が直接協働できるようになります。

業務への具体的な影響

Agentic Enterpriseでは、チームは24時間365日の知性で運営され、すべての従業員には役割ベースのタスクを代行し、他のタスクを補強するAIパートナーが付きます。実際に、Agentforce 360が12,000社の顧客に導入され、革新的な成果を出しています
例えば、OpenTableはダイナーとレストランからの問い合わせの70%を自律的に解決し、1-800Accountantは税務申告シーズン中に90%のケース回避率を達成しています。営業リードを逃すことがなくなり、カスタマーサービスが眠ることなく、顧客対応機能が半自律的になります。

OpenAIとの戦略的パートナーシップ拡大:ChatGPT×Salesforce

2025年10月14日、SalesforceとOpenAIは戦略的パートナーシップの拡大を発表し、Agentforce 360とOpenAIのフロンティアモデルを統合した新世代の従業員と消費者体験を実現しました。

この提携により、企業はChatGPT内でSalesforce CRMデータにアクセスし、Tableauビジュアライゼーションを作成できるようになります。また、GPT-5を含むOpenAIの最新モデルを使用して、Salesforceプラットフォーム内でAIエージェントやプロンプトを構築できます。

実務への応用

Agentforce Salesから始まり、Salesforceのアプリは認証された従業員に対して、Salesforce CRMデータとTableauビジュアライゼーションへの即座の自然言語アクセスを提供します。例えば、プロジェクトマネージャーがSlack内でChatGPTに四半期業績指標を高レベルでまとめるよう依頼すれば、適切なステークホルダーと共有できるサマリーを瞬時に作成できます。

新しいコマース体験

Agentforce Commerceは、StripeとOpenAIと協力して開発されたAgentic Commerce Protocol(ACP)に基づくInstant Checkout統合を構築しました。これにより、消費者は製品を発見してから購入するまで、チャットウィンドウを離れることなく完結できるようになります。

Googleとの戦略的パートナーシップ拡大:Gemini×Agentforce

2025年10月16日には、SalesforceとGoogleが戦略的パートナーシップの拡大を発表し、GoogleのGeminiモデルをAgentforce 360プラットフォームに統合しました。

Salesforceの Atlas Reasoning Engineは、Geminiモデルとのハイブリッド推論を導入し、AIエージェントがAIの創造性とビジネスプロセスの信頼性を組み合わせられるようになりました。

Google Workspaceとの深い統合

パートナーシップはGoogle Workspace全体に拡大され、Agentforce 360の営業とITサービス機能がコラボレーションスイート全体に統合されました。これにより、GmailやGoogle Meetなどの日常的に使用するツールから、Salesforce CRMデータやインサイトに安全にアクセスできるようになります。

Slackとの革新的な連携

SlackのリアルタイムSearch APIとGemini Enterpriseの新しい統合により、強力なデータ分析、エージェンティックAI機能、次世代のエージェントオーケストレーションがSlackの会話型インターフェースで直接利用できるようになりました。つまり、ユーザーはSlackのユーザーインターフェース内から直接Gemini Enterpriseエージェントにアクセスし、Slackワークスペースに基づいた即座のインサイトと要約を得ることができます。

まとめ:AIと人間の新しい協働の形

Salesforceが提唱するAgentic Enterpriseは、AIが人間の能力を拡張し、企業全体の生産性を飛躍的に向上させる未来を描いています。Marc Benioff氏は「私たちはAgentic Enterpriseの時代に入っています。ここではAIがこれまでにないほど人間の可能性を高めます」と述べています。

DX推進を検討している企業、特にSalesforceやSlackを既に活用している組織にとって、Agentforce 360とそのパートナーシップエコシステムは、競争優位性を確立するための強力なツールとなるでしょう。重要なのは、AIを恐れるのではなく、戦略的に活用して人間の価値をさらに高めていくことです。


参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


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本記事はAIツールの支援を受けて作成されております。 内容は人間によって確認および編集しておりますが、詳細につきましてはこちらをご確認ください。

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