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厳しい経済状況:国内の倒産動向
まず、日本国内の厳しい経済状況を見てみましょう。帝国データバンクの調査によると、2025年上半期(1月〜6月)の全国企業倒産件数は5,000件を超え、上半期としては3年連続の増加となりました。
2025年上半期(1〜6月)の全国企業倒産(負債1000万円以上)は5,003件(前年同期比2.4%増)となり、上半期としては3年連続で前年同期を上回った。(中略)上半期としては、2013年(5,310件)以来、12年ぶりに5,000件を超える高水準での推移となった。
出典:帝国データバンク|倒産集計 2025年上半期報(2025年1月~2025年6月)
この背景には、物価高や人手不足、そして「ゼロゼロ融資」の返済本格化といった要因が複雑に絡み合っています。コスト増が企業の経営を圧迫し、体力の乏しい企業から淘汰が進んでいるのが現状です。
なぜフィンテック業界は活況?IPOブーム再燃の兆し
このようなマクロ経済の逆風にもかかわらず、フィンテック業界、特に一部の有力企業は非常に力強い動きを見せています。その象徴が「IPOブームの再燃」です。
HSBC Innovation Bankingが発行した「Fintech 2025 Horizons Report」によると、2025年にはフィンテック企業のIPO市場が再び活気を取り戻すと予測されています。
この予測を裏付けるように、具体的な動きも次々と報じられています。
- Wealthfront: 米国のロボアドバイザー大手Wealthfrontは、2025年6月23日に米国証券取引委員会(SEC)へIPOの新規登録申請書を内密に提出したと発表しました。
- Pine Labs: フィンテックユニコーンであるインドのデジタル決済大手Pine Labsも、2025年6月26日インド証券取引委員会(SEBI)にIPOの目論見書草案を提出したと報じられています。
- Klarna: スウェーデン発の後払い(BNPL)サービス大手Klarnaも、長らくIPOが期待されていましたが、2024年11月に機密文書で米国証券取引委員会(SEC)にIPOプロセスを開始し、2025年3月17日には目論見書を提出しました。ニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を目指しており、2025年中の上場を目指して準備を進めているとされ、市場の大きな注目を集めています。
- SBIホールディングス(日本の動き):SBIホールディングス株式会社及び株式会社SBI新生銀行は、2025年7月11日にSBI新生銀行が東京証券取引所へ上場申請を行ったことを発表し、デジタルバンキング分野での新たな展開を示唆している。
なぜ、彼らはこのタイミングでIPOを目指すのでしょうか?HSBCのレポートは、B2B(企業向け)フィンテックや組み込み金融(エンベデッド・ファイナンス)といった分野の力強い成長を指摘しています。経済全体が不透明な中でも、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)や業務効率化に貢献するフィンテックサービスへの需要は非常に旺盛です。
つまり、すべてのフィンテック企業が好調なわけではなく、明確な強みや成長分野にフォーカスした企業が投資家から高い評価を受け、IPOという形で次の成長ステージへ向かおうとしているのです。
2025年下半期以降のキャリア戦略:注目すべき3つの分野
この二極化ともいえる状況は、私たちのキャリア戦略にも重要な示唆を与えてくれます。今後、特に成長が期待される分野と、そこで求められるスキルを見ていきましょう。
- B2Bフィンテック・SaaS: 企業の経費精算、請求書処理、サプライチェーン・ファイナンスなどを効率化するサービスは、コスト削減や生産性向上に直結するため、不況下でも需要が安定しています。ここでは、顧客企業の業務プロセスを深く理解し、最適なソリューションを提案できる能力が求められます。
- 組み込み金融(エンベデッド・ファイナンス): 非金融系のプラットフォーム(例:ECサイト、SaaSツール)に決済や融資といった金融機能を「組み込む」技術です。ECサイトでの後払い(BNPL)などが代表例です。ここでは、API連携やプラットフォームビジネスに関する技術的知見、パートナー企業との協業を推進するビジネス開発スキルが重要になります。
- AI・データ活用: AIを活用した与信スコアリング、不正検知、パーソナライズされた金融アドバイスなどは、もはやフィンテックの中核技術です。データサイエンティストやAIエンジニアはもちろん、AI倫理やデータプライバシーに関する法規制を理解し、ビジネスに実装できる人材の価値はますます高まるでしょう。
まとめ:変化の波を乗りこなし、キャリアの勝機をつかむ
今回は、倒産増加という厳しい経済ニュースの裏で起きているフィンテック業界のIPOブームについて、その背景とそこから見える今後のキャリア戦略を解説しました。
- 経済全体では倒産が増加しているが、これは構造変化の一環でもある。
- フィンテック業界内では二極化が進行。B2Bや組み込み金融など、明確な需要がある分野は力強く成長している。
- 有力フィンテック企業は、この成長をさらに加速させるためにIPOを目指している。
- キャリアを考える上では、これらの成長分野に注目し、求められる専門性を身につけることが重要。
変化の激しい時代だからこそ、表面的なニュースに一喜一憂するのではなく、その裏にある大きなトレンドを読み解くことが不可欠です。この記事が、あなたのキャリアパスを照らす一助となれば幸いです。
参考・出典
本記事は、以下の資料を基に作成しました。
- 帝国データバンク(https://www.tdb.co.jp/) :倒産集計 2025年上半期報(2025年1月~2025年6月)(アクセス日:2025年07月23日):
https://www.tdb.co.jp/report/bankruptcy/aggregation/20250708-bankruptcyh12025/ - HSBC Innovation Banking(https://www.hsbcinnovationbanking.com/us/en) :Convergence, emergence & resurgence – 2025 fintech report(アクセス日:2025年07月23日):
https://www.hsbcinnovationbanking.com/us/en/resources/fintech-2025-horizons-report?cid=B%3ADISD%3A9138624022%3A9138552227&ref=thisweekinfintech.com/ - SBI新生銀行(https://www.sbishinseibank.co.jp/) :株式会社SBI新生銀行の株式上場申請について(アクセス日:2025年07月23日):
https://corp.sbishinseibank.co.jp/ja/news/news/20250711a.html - Investopedia(https://www.investopedia.com/) :Buy Now, Pay Later Firm Klarna Files US IPO Prospectus(アクセス日:2025年07月23日):
https://www.investopedia.com/buy-now-pay-later-firm-klarna-files-us-ipo-prospectus-11698037?utm_source=chatgpt.com
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