1. AI×決済：金融業界を変革するAIエージェントの台頭

2025年、AIと決済の融合は「実験段階」から「実用段階」へと明確に移行しました。

Visaは2025年11月に「Visa Intelligent Commerce」を発表し、AIエージェントが消費者に代わって安全かつ透明性のある購入を実行できる新しい決済の枠組みを提示しています。このシステムは2026年初頭にパイロット運用が開始される予定で、消費者はAIに買い物を任せる時代が目前に迫っています。

注目すべきは、AI主導のトラフィックが前年比で4,700%以上急増しているという点です。これは単なるブームではなく、金融サービスの根本的な変革を示唆しています。

参考記事：【2025年11月版】フィンテック最前線：VisaのAI戦略とKlarnaステーブルコインが描く未来

金融大手5社の動向

• LSEG（ロンドン証券取引所グループ）：MCPコネクタを通じてChatGPTとリアルタイム金融データを連携
• Intuit：ChatGPT内でパーソナライズされた財務提案とアクション実行を可能に
• PayPal：Instant CheckoutとAgentic Commerce Protocolを導入し、AI対応決済を強化
• 野村ホールディングス：Deep Research機能を活用したリサーチ業務の効率化
• バンク・オブ・アメリカ：社内アシスタント「AskGPS」を展開し、行内業務をAI化

これらの事例から見えてくるのは、AIが「補助ツール」から「意思決定と実行の主体」へと進化しているという事実です。

詳細記事：フィンテック×AI最新5事例：OpenAIと提携した金融大手5社から見る動向と次の一手

2. ステーブルコイン：クロスボーダー決済の新たな選択肢

ステーブルコイン市場は2025年、大きな転換点を迎えました。

Klarnaは決済特化型ブロックチェーン「Tempo」上で「KlarnaUSD」を発行しました。Stripe傘下のBridgeと連携したこの取り組みは、BNPLの雄がブロックチェーン決済に本格参入することを意味します。

McKinseyの推計によれば、ステーブルコイン市場は年間27兆ドル規模に達する可能性があるとされています。

参考記事：【2025年11月版】フィンテック最前線：VisaのAI戦略とKlarnaステーブルコインが描く未来

日本のメガバンクも動き出す

国内では、MUFG・みずほ・三井住友・三菱UFJ信託・Progmatによる”メガバンク共同ステーブルコインのPoC（概念実証）”が金融庁のFinTech PoC Hubに採択されました。このプロジェクトでは、三菱商事の国内外拠点間におけるクロスボーダー決済への活用が検証されています。

従来、国際送金には数日かかり、高額な手数料が発生していました。ステーブルコインはこの課題を根本から解決する可能性を秘めており、企業の資金効率を大幅に改善する切り札となり得ます。

参考記事：【2025年11月版】フィンテック最前線：VisaのAI戦略とKlarnaステーブルコインが描く未来

3. MaaS×キャッシュレス：交通と決済の融合が加速

日本のキャッシュレス比率は2024年に42.8%に達し、政府目標の40%を達成しました。次なる目標は80%です。この第2フェーズを牽引するのが、交通系ICカードの進化です。

Suica×PASMO「teppay」の衝撃

JR東日本は2026年秋、PASMOは2027年春にそれぞれ「teppay」を提供開始する予定です。

teppayの主な特徴は以下の通りです。

• コード決済機能：JCB Smart Code経由で全国160万か所以上で利用可能
• P2P送金：個人間の送金がSuica/PASMOで完結
• 地域限定バリュー：地方自治体や商業施設と連携した独自ポイント

これまで「チャージして使う」だけだった交通系ICが、総合的な決済プラットフォームへと進化します。

詳細記事：Suica×PASMO「teppay」とタッチ決済で2026年は何が変わる？日本のMaaS×キャッシュレス決済最新動向

タッチ決済の相互利用も拡大

首都圏の鉄道では、タッチ決済の導入が急速に進んでいます。都営地下鉄では、2024年12月の26駅から2025年9月には55駅へ拡大しました。さらに、2025年9月時点でVisa・Mastercard・JCBなどの7ブランドに対応しています。

海外からの訪日客は、自国のクレジットカードをそのまま改札にタッチするだけで電車に乗れるようになります。これはインバウンド観光の利便性を飛躍的に高める革新です。

詳細記事：Suica×PASMO「teppay」とタッチ決済で2026年は何が変わる？日本のMaaS×キャッシュレス決済最新動向

4. 生体認証決済：「手ぶら」で買い物する時代へ

2025年、生体認証決済は実証実験から商用展開へとフェーズが移行しました。

NEC×PopIDの顔認証決済

国内では、NECとPopIDが顔認証決済サービスを展開し、米国では1,000以上の加盟店で導入”されています。顔をかざすだけで決済が完了する「完全手ぶら決済」は、財布もスマートフォンも不要な究極の利便性を実現します。

生体認証決済の普及により、「決済」という行為自体が意識されなくなる日も近いかもしれません。

参考記事：iPhoneと顔認証が変えるキャッシュレス決済の衝撃！【2025年12月速報】

5. 専用端末不要：事業者のキャッシュレス決済ハードル低下

iPhone Tap to Payのグローバル化

AppleのiPhone Tap to Payは2025年12月からシンガポールでサービスを開始しています。このサービスにより、店舗は専用の決済端末を用意せずとも、iPhoneだけでタッチ決済を受け付けることが可能になります。

中小店舗や個人事業主にとって、初期投資なしでキャッシュレス決済を導入できることは大きなメリットです。

参考記事：iPhoneと顔認証が変えるキャッシュレス決済の衝撃！【2025年12月速報】

6. RWAトークン化：伝統金融とブロックチェーンの融合

RWA（Real World Assets＝現実世界の資産）のトークン化は、2025年に本格的な機関投資家向けサービスとして確立しました。

JPモルガンはMMF（マネー・マーケット・ファンド）のトークン化を進め、DTCC（米国証券保管振替機関）の規制承認を取得しています。

グローバルでの展開事例

• Kraken×ドイツ取引所：欧州市場でのRWAトークン取引基盤を構築
• SBIリップルアジア：アジア太平洋地域でのトークン化資産流通を推進

RWAトークン化のメリットは、従来は流動性が低かった資産（不動産、債券、美術品など）を小口化し、24時間365日取引可能にすることです。機関投資家だけでなく、一般投資家にも新たな投資機会が開かれる可能性があります。

詳細記事：RWAトークン化、ついにJPモルガンが本格参入！2025年12月の衝撃発表まとめ

まとめ：2026年に向けた展望

2025年のフィンテックは、「概念実証」から「商用展開」への移行が鮮明になった年でした。

• AI決済：2026年にはVisaのAIエージェント決済がパイロット運用を開始
• ステーブルコイン：メガバンク主導のクロスボーダー決済実証が進行中
• MaaS×キャッシュレス：teppayの登場で交通系ICが総合決済プラットフォームへ進化
• 生体認証：米国での顔認証決済の普及
• 事業者のキャッシュレス決済ハードル低下：iPhone Tap to Payのグローバル展開が加速
• RWAトークン化：JPモルガンの本格参入で機関投資家向け市場が拡大

これらのトレンドに共通するのは、「ユーザー体験の簡素化」と「国境を越えた相互運用性」です。2026年以降、これらの技術が日常生活にどのように浸透していくのか、引き続き注目していく価値があります。

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