フィンテックは銀行になるのか?Visa・PayPal・SBIのステーブルコイン戦略

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2025年末、フィンテック業界ではステーブルコインに関する大きな動きが相次いでいます。Visaによるアドバイザリー事業の立ち上げ、PayPalの銀行業参入申請、そして日本勢ではSBIホールディングスとStartale Groupによる円建てステーブルコインの共同開発など、業界地図を塗り替える可能性を秘めた発表が続いています。
本記事では、これらの最新動向を整理し、日本のビジネスパーソンが押さえておくべきポイントを解説します。

ステーブルコイン市場が2,500億ドル規模に到達

ステーブルコインとは、米ドルや日本円などの法定通貨に価値を連動させた暗号資産のことです。価格変動が激しいビットコインなどとは異なり、価値の安定性を保ちながらブロックチェーン技術のメリット――迅速な送金、低コスト、24時間365日の稼働――を享受できる点が特徴です。

Visa Consulting and Analyticsの発表によれば、ステーブルコインの時価総額は2025年現在、2,500億ドル(約38兆円)を突破しました。Visaのステーブルコイン関連決済額も年換算で35億ドルに達しており、40カ国以上で130を超えるステーブルコイン連携カード発行プログラムが稼働しています。

欧米大手フィンテック企業の動向

Visa:ステーブルコイン・アドバイザリー事業を開始

Visaは2025年12月15日、新サービス「Stablecoins Advisory Practice」を立ち上げました。銀行、フィンテック企業、事業会社向けに、ステーブルコイン導入に関する戦略策定、市場分析、技術実装支援を提供します。Navy Federal Credit UnionやPathwardなど複数の金融機関がすでに本サービスを活用し、自社のステーブルコイン戦略を検討しています。

PayPal:産業銀行の設立を申請

PayPalは同日、ユタ州とFDIC(連邦預金保険公社)に対し、「PayPal Bank」設立の申請を提出しました。2013年以降、同社は全世界で42万以上の事業者に対し300億ドル超の融資を行ってきましたが、銀行ライセンス取得により中小企業向け融資事業の効率化を図ります。承認されれば、FDIC保険付きの預金口座も提供予定です。

PayPalのAlex Chriss CEO は「資金調達は、成長を目指す中小企業にとって依然として大きなハードルです。PayPal Bank設立により、事業を強化し、効率性を高め、米国全土の中小企業の成長と経済機会をより良く支援できるようになります」とコメントしています。

Klarna:Coinbaseと提携しステーブルコイン調達を開始

BNPL(後払い決済)大手のKlarnaは12月19日、暗号資産取引所Coinbaseと提携し、USDCステーブルコインを活用した資金調達スキームの構築を発表しました。従来の預金、長期借入、コマーシャルペーパーに加え、機関投資家からUSDC建てで短期資金を調達する新たなチャネルを開拓します。

日本勢の動き:SBIグループが牽引

SBIとStartale Group:グローバル市場向け円建てステーブルコインを共同開発

SBIホールディングスとStartale Groupは2025年12月16日、グローバル市場向け日本円建てステーブルコインの共同開発に関する基本合意書(MOU)を締結したと発表しました。本プロジェクトでは、法規制に準拠した形でステーブルコインを普及させ、既存金融とブロックチェーン・イノベーションの融合を促進することを目指しています。

2026年1Qのローンチを目指しており、Startaleはスマートコントラクト・API設計、セキュリティ監査、コンプライアンス対応などの技術面を主導します。

国内初:トークン化預金によるセキュリティトークン決済の実証実験

SBI証券、大和証券、SBI新生銀行、BOOSTRY、大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)、ディーカレットDCPは2025年12月26日、セキュリティトークン(ST)の二次流通市場向けに、トークン化預金「DCJPY」を活用したDVP(Delivery Versus Payment)決済の実証実験を開始したと発表しました。

国内のST市場は急成長しており、2025年11月末時点で公募発行総額は2,700億円規模に達しています。ブロックチェーン上でSTの受け渡しは即時に行われる一方、資金決済は従来の銀行振込で行われているため、決済リスク管理と事務負担軽減が課題となっていました。本プロジェクトでは、STと資金の同時決済(DVP)を実現することで、この課題解決を目指します。

ビジネスパーソンが知っておくべき3つのポイント

  1. ステーブルコインは「投機対象」から「決済インフラ」へ進化:Visaのような決済大手がステーブルコイン事業に本格参入していることは、暗号資産が投機的な資産クラスから、実務に使える決済手段へと変貌しつつあることを示しています。
  2. 日本でも法整備が進み、参入障壁が低下:2023年の改正資金決済法施行により、日本でもステーブルコイン発行の法的枠組みが整備されました。SBIとStartaleの取り組みは、この規制環境を活用したグローバル展開の先駆けとなる可能性があります。
  3. B2B決済・資金調達の効率化に直結:Klarnaの事例が示すように、ステーブルコインは企業の資金調達手段としても活用され始めています。国際送金や企業間決済において、従来の銀行システムよりも迅速かつ低コストでの取引が可能になることで、財務戦略に新たな選択肢が生まれています。

まとめ

2025年末は、ステーブルコインの普及において画期的ものとなりました。欧米の決済大手が相次いで参入を表明する中、日本でもSBIグループを中心に積極的な動きが見られます。ステーブルコインは今後、国際送金、B2B決済、資金調達など幅広い領域で活用が進むと予想されます。

フィンテック業界の動向を注視し、自社のビジネスにどのような影響があるかを検討することが、今後の競争優位性確保につながるでしょう。


参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


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