【5分でわかる】世界の不動産テック最新3トレンド:Rent to Own、株式型投資、トークン化まで

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「不動産投資は、まとまった資金が必要で流動性が低い」。そんな常識が、テクノロジーによって過去のものになりつつあります。
今、世界の不動産テック(PropTech)業界では、ブロックチェーンやAIを活用し、不動産を「より小口に」「より自由に」取引できる仕組みが急速に普及しています。サウジアラビア政府による国主導のトークン化から、ジェフ・ベゾス氏が出資する米国のスタートアップまで、日本のビジネスパーソンが押さえておくべき最新の3つの潮流を解説します。

1. 英国Keyzy:Rent to Ownで「14年の頭金」を2年に短縮

まずは、住宅取得のハードルを下げる動きです。

イギリスのスタートアップKeyzyは、ロンドンの賃貸世帯向けに「Rent to Own」型のサービスを展開しています。2025年11月、同社は今後18か月で1億3,000万ポンド分の物件を取得し、2027年までにロンドン圏で250戸以上のレント・トゥ・オウン住宅を提供するための資金調達を完了したと発表しました。

このモデルのポイントは次の通りです。

  • 入居者は最長2年間、Keyzyが保有する物件に「家賃」を払いながら居住
  • 支払った家賃の100%が、将来の頭金として積み立てられる
  • 契約時点で将来の購入価格を固定しておき、2年後に購入するかどうかを選択可能

ロンドンでは、平均的な世帯が頭金を貯めるのに14年かかるとも言われており、Keyzyは「その期間を2年に短縮する」と訴求しています。
Rent to Own型は、賃貸と持ち家の中間に位置する選択肢として、これから注目されるゲームチェンジャーモデルと言えます。

2. 米国Arrived:一戸単位から「株式のように」売買できる不動産市場

次に、不動産投資の金融商品化と流動性向上の動きです。

米国のArrivedは、1物件あたり100〜15,000ドルから投資できる賃貸住宅の「少額出資プラットフォーム」として成長してきました。同社は2025年11月、Neoなどをリード投資家とする2,700万ドルの新たな資金調達(シリーズB)と同時に、個別の賃貸住宅の持分を投資家同士で売買できる「Arrived Secondary Market」を正式ローンチしたと発表しています。

Secondary Marketの特徴は以下です。

  • 投資家は、保有する賃貸住宅の「持分(シェア)」を株式のように売買可能
  • オーダーマッチング方式で価格が決まり、数分単位で現金化が可能
  • ローンチ後3週間で、5万7,000件以上の売買注文が成立するなど、投資家からの反応も大きい

これにより、従来は「売却まで数年単位でロックされる」ことが多かった不動産投資に、株式市場並みの流動性が持ち込まれつつあります。すでに65都市・550物件超に対して、3億ドル以上が投資され、登録投資家数は88万5,000人超とされており、個人投資家への普及も進んでいます。

日本でも、不動産クラウドファンディングや不動産STOの市場規模はここ数年で急拡大しており、事業者数・発行額ともに増加しています。一方で、Arrivedのように「一次募集から投資家同士のセカンダリ取引までを自社プラットフォーム上で完結できるサービス」は、SaaS型や一部STインフラなどまだ一部のプレイヤーに限られます。
証券会社・不動産会社・フィンテック企業の連携はすでに進みつつあるので、将来的にはArrivedに近いモデルが日本でも登場する可能性は十分にあるでしょう。

3. サウジREGAとトランプ・マルディブ:不動産トークン化と規制の最前線

最後に、ブロックチェーンを使った不動産トークン化の動きです。

3-1. サウジアラビア:世界初の公式トークン化標準を掲げるREGA

サウジアラビアのReal Estate General Authority(REGA)は、2025年11月に国内初の不動産トークン化案件を完了し、「世界初の不動産トークン化の公式規制標準」を確立したと発表しました。

発表によれば、物件は国営住宅開発公社(NHC)と投資家の間でトークン化された形で取引され、登記情報と連動した「機械可読なデジタルトークン」によって所有権を管理します。将来的にはPropTech企業向けの技術仕様を公表し、サンドボックスを通じて標準化を進める意向です。

単なるスタートアップの実証ではなく、国が事前にルールを整備してトークン化を推進するアプローチであり、今後の各国規制のベンチマークになる可能性があります。

3-2. トランプ・マルディブのリゾート開発:ラグジュアリーホテルもトークン化へ

一方、民間主導で話題を集めているのが、トランプ・インターナショナル・ホテル・マルディブのトークン化計画です。トランプ・オーガニゼーションとサウジ系デベロッパーDar Globalが開発するマルディブの高級リゾートは、投資家が開発初期からデジタルシェアを購入できるよう「オンチェーン化」される予定です。
つまり、「ラグジュアリー不動産 × トークン化 × 富裕層・個人投資家」という新しい投資テーマが立ち上がりつつある一方で、規制・投資家保護の枠組みをどう整えるかがグローバル共通の論点になっている、ということです。

4. 日本のビジネスパーソンは何を押さえるべきか

ここまで見てきた3つの潮流を整理すると、次のようにまとめられます。

  1. 住まいの民主化:Keyzyのように、家賃を資産形成に変えるレント・トゥ・オウンは、若年層の持ち家ニーズを取り込む有力モデル。
  2. 不動産の株式市場化:Arrivedのセカンダリーマーケットは、少額・短期・高流動性という株式型の体験を不動産に持ち込んでいる。
  3. トークン化と規制の競争:サウジREGAやトランプ案件に見られるように、国と民間がそれぞれのアプローチで不動産トークン化を進めている。

日本の不動産・金融業界から見ると、「規制を守りながらイノベーションの速度をどう上げるか」が最大のポイントです。


参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


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