【2025年11月版】フィンテック最前線:VisaのAI戦略とKlarnaステーブルコインが描く未来

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2025年も残すところあとわずかとなりました。11月のフィンテック業界は、まさに「次世代コマース」と「デジタル資産の実用化」が交差する、極めて重要な転換点となりました。
特に押さえておくべきは、決済巨人VisaによるAI活用の本気度、BNPL(後払い決済)大手Klarnaによるステーブルコイン参入、そして日本のメガバンクによるステーブルコイン共同発行です。これらは単なるニュースではなく、2026年以降のビジネス環境を一変させる可能性を秘めています。
本記事では、多忙なビジネスパーソンに向けて、2025年11月に起きたフィンテック業界の地殻変動を3つのポイントに絞って解説します。

1. AIが「買い物」を変える:Visaが描く2026年の勝算

まず注目すべきは、決済ネットワークの雄であるVisaの動きです。Visaは11月、アジア太平洋地域において「Visa Intelligent Commerce」の拡大を発表しました。さらに衝撃的だったのは、2026年初頭までに「AIコマース」のパイロット運用を開始するというロードマップです。

なぜこれが重要なのか?

これまで「AI」と「決済」の融合は、不正検知などのバックエンド処理が主戦場でした。しかし、Visaの今回の発表は、消費者の購買体験そのもの(フロントエンド)にAIを介在させるという意思表示です。

Visa Intelligent Commerceとは? AIエージェントが消費者に代わって安全かつ透明性の高い方法で、購入の実行(トランザクション)を完了させるための決済インフラとセキュリティフレームワークです

Visaは過去1年間で小売ウェブサイトへのAI主導のトラフィックが4,700%以上急増したと発表しており、Eコマース事業者は、AIコマースによってカゴ落ち(決済直前の離脱)を減らすことが期待できます。

2. BNPLから「銀行」へ:KlarnaUSDの発行と27兆ドル規模への衝撃

欧州発のBNPL大手Klarnaが、ついに暗号資産(仮想通貨)領域へ本格参入しました。「KlarnaUSD」という米ドルペッグのステーブルコインのローンチは、既存の銀行システムに対する明確な挑戦状とも言えます。

KlarnaUSDは、StripeとParadigmが立ち上げた決済特化型ブロックチェーン「Tempo」 上で発行される

初の「銀行発行ステーブルコイン」となり、発行基盤にはStripe傘下のBridgeによるOpen Issuanceプラットフォームを採用しています。

年間27兆ドル規模とは?

McKinseyの推計では、ステーブルコインの取引額は既に年間27兆ドルに達し、今後レガシー決済ネットワークを追い越す可能性があると指摘されています
そんな中Klarnaは、クロスボーダー決済にかかる手数料を、ステーブルコインKlarnaUSDを使用することで極限まで引き下げる狙いも示されています。

BNPL企業がステーブルコインを持つことは、自社経済圏での「お金の循環」を完結させるためのラストワンマイルでした。2026年は、フィンテック企業発行のステーブルコインが、日常決済の主役に躍り出る「ステーブルコイン決済元年」になるかもしれません。

3. メガバンクの底力:メガバンク連合の共同ステーブルコインPoC

最後に、11月7日に発表された三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のニュースについても触れておきましょう。三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ信託銀行、Progmatの5社は、共同でステーブルコインを発行し、三菱商事の国内外拠点間のクロスボーダー決済に活用するPoC が、金融庁FinTech PoC Hubの支援対象に採択されたと発表しました。

各銀行が共同の信託財産の元本(joint principal trustees)となり、信託銀行が受託者代理としてSCを発行。SCは資金決済法上の「特定信託受益権」として位置付けられ、既存法制の枠内で設計されています。

用途は企業間クロスボーダー決済

三菱商事の日本・海外拠点間の送金にSCを用いることで、為替・決済コストの削減や決済スピード向上を検証します。

発行スキームの要件整理、評価指標の設計、利用者保護策を含む実務的なノウハウの蓄積が目的とされています。今後も、共通インフラ型ステープルコイン”に踏み込んだ動きが見られるかもしれません。

まとめ

2025年11月の動向を振り返ると、以下の2つの潮流がはっきりと見えてきました。

  1. 決済のAI化: パーソナライズされた購買体験が標準になる。
  2. 決済手段の多様化: ステーブルコインが「使うお金」として変化し、複数社共同のステーブルコインが発行される。

参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


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