【速報】会社資産のインフレ目減り防衛!?なぜ企業はビットコインを「財務資産」として保有するのか？

2025.08.25
読了時間目安 7分

「企業のビットコイン保有」というニュースを目にする機会が増えていませんか？
かつては投機の対象と見られがちだったビットコインは、今や企業の財務戦略における重要な「資産」として認識され始めています。
株式会社J-CAMが2025年7月25日から28日にかけて実施した「法人によるビットコイン保有と運用意向」に関する調査によると、年商300億円以上の日本企業では実に52.2％がすでにビットコインを保有しているという驚くべき調査結果が明らかになりました。
出典：株式会社J-CAM「法人によるビットコイン保有と運用意向」に関する調査
URLリンク：https://bitlending.jp/crypto-media/bitcoin-corporate-survey-2025/

この記事では、なぜ今、世界中の企業がビットコインを保有するのか、その具体的な理由と戦略を、国内外を踏まえて、約7分で分かりやすく解説します。

結論：企業のビットコイン保有は「未来への戦略的投資」である
企業がビットコインを保有する3つの主な理由
世界の企業保有動向――米国が牽引する新潮流
日本企業の現状――規模による明確な格差
導入の障壁と解決への道筋
今後の展望――デジタル資産時代の企業戦略
まとめ
参考・出典

結論：企業のビットコイン保有は「未来への戦略的投資」である

結論から言えば、企業によるビットコイン保有は、一過性のブームではなく、不安定な経済情勢を乗り切るための合理的かつ戦略的な財務判断です。

その背景には、深刻化するインフレへの懸念、資産の分散投資、そしてデジタル時代における新たな長期的価値保存の手段への期待があります。この動きは、一部の先進的な企業から始まり、今や着実に世界中の企業へと広がりを見せています。

企業がビットコインを保有する3つの主な理由

企業が法定通貨や従来の金融資産に加えて、ビットコインを財務資産としてポートフォリオに組み入れる動きが加速しています。その背景には、主に3つの戦略的な理由が存在します。

1. インフレヘッジとしての価値保存

最も大きな理由の一つが、インフレに対するヘッジ（リスク回避）です。世界各国の中央銀行が金融緩和策として大量の紙幣を供給する中、法定通貨の価値が希薄化する懸念が高まっています。

一方で、ビットコインは発行上限が2,100万枚と定められており、その希少性から「デジタルゴールド」とも呼ばれています。金（ゴールド）がインフレに強い資産とされるように、ビットコインもまた、長期的な価値保存の手段として期待されているのです。

2. 新たな資産クラスとしての可能性

ビットコインは、ポートフォリオに組み込むことで、分散投資によるリスク低減効果が期待できます。また、デジタル資産市場の成長性を見込み、将来的なキャピタルゲイン（値上がり益）を狙う企業も少なくありません。

3. グローバルな決済手段としての活用

ビットコインは、国境を越えた送金を迅速かつ低コストで実現できる可能性があります。特に、グローバルに事業を展開する企業にとって、従来の銀行システムを介するよりも効率的な決済ネットワークを構築できる点は大きな魅力です。

Rippleがステーブルコイン決済企業Railを買収した時の理由も、国際決済における「ステーブルコイン」の役割を最大化することでした。国際決済の未来も見据えた戦略であることも考えられます。

世界の企業保有動向――米国が牽引する新潮流

BitcoinTreasuries.NETのデータによると、数千億円規模の大量保有を行う企業がある一方で、数億円から数十億円規模の戦略的保有を選択する企業も多く、それぞれの財務戦略や事業規模に応じた柔軟なアプローチが取られています。

また企業のビットコイン保有の動きを語る上で、米国のStrategy社（旧MicroStrategy社）の存在は欠かせません。同社は、世界で最も多くのビットコインを保有する上場企業として知られており、2025年2月には社名を「Strategy」に変更し、ビットコイン財務戦略をさらに本格化させています。BitcoinTreasuries.NETのデータを確認してみても、2025年8月22日現在、同社は20万BTC以上を保有しています。

日本企業の現状――規模による明確な格差

日本における企業のビットコイン保有状況を、株式会社J-CAMの「法人によるビットコイン保有と運用意向」に関する調査から詳しく見ると、企業規模による明確な格差が存在します。年商1億円〜5億円未満の企業では13.1％の保有率にとどまる一方、年商300億円以上では52.2％と、規模が大きくなるほど保有率が上昇する傾向が顕著です。

また、年商5億円〜10億円の中堅企業層では、30.6％が「すでに保有」、24.4％が「真剣に検討中」と回答しており、今後の普及拡大が期待される層として注目されます。

実際にビットコインを保有している日本企業からは、43.3％が「資産価値の上昇により利益が出た」と回答しており、単なる理論上のメリットだけでなく、実質的な財務効果を享受していることが明らかになりました。

導入の障壁と解決への道筋

一方で、ビットコイン導入には依然として高いハードルが存在します。株式会社J-CAMの「法人によるビットコイン保有と運用意向」に関する調査によると、最大の障壁は「リスクに対する社内合意形成」（38.3％）であり、新しい資産クラスに対する理解不足や、保守的な企業文化が導入を妨げている実態が浮き彫りになっています。

また、62.6％の企業が「価格の不安定さ」を懸念しており、ボラティリティの高さが企業の財務戦略に与える影響への不安が根強いことがわかります。さらに、「信頼できるサポート事業者の不在」（32.2％）も課題として挙げられており、専門的な知識やサービスの不足が導入の足かせとなっています。

これらの課題に対し、企業が求めているのは「資産として利回りを得られる運用サービス」（32.0％）や「ビットコインを担保にした融資サービス」（30.8％）など、より実践的な活用方法です。単に保有するだけでなく、企業の財務戦略に統合できる仕組みの構築が急務となっています。

今後の展望――デジタル資産時代の企業戦略

世界的な潮流と日本企業の動向を総合すると、ビットコインの企業保有は今後さらに加速することが予想されます。特に、以下の要因がその流れを後押しするでしょう。

規制環境の整備：各国で暗号資産に関する法制度が整備されつつあり、企業にとってより安心して参入できる環境が整いつつあります。日本でも会計基準の明確化や税制の見直しが進めば、導入企業は増加するでしょう。
機関投資家向けサービスの充実：カストディサービスやレンディングサービスなど、企業のニーズに応じた金融サービスが拡充されることで、より多くの企業が参入しやすくなると考えられます。
成功事例の蓄積：先行企業の成功体験が共有されることで、後続企業の参入意欲が高まることが期待されます。特に、同業他社の動向は企業の意思決定に大きな影響を与えるため、業界内での連鎖的な採用が進む可能性があります。