【2025年11月最新】STO(セキュリティトークン)動向:日本で2,800億円突破の衝撃

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2025年、証券のデジタル化が新たな局面を迎えています。従来の資金調達方法に代わる選択肢として注目を集めているのが、STO(Security Token Offering)です。ブロックチェーン技術と伝統的な証券法が融合したこの仕組みは、不動産から債券、さらには企業株式まで、あらゆる資産のデジタル化を可能にし、投資の民主化を推進しています。

なぜ今、STOが機関投資家と規制当局を動かしているのか?

STOがこれまでの暗号資産(仮想通貨)と一線を画し、大きな注目を集める理由は、その「仕組み」にあります。STOは、株式や債券、不動産といった実物資産や有価証券を裏付けとし、それらをブロックチェーン技術を用いてデジタル化した「証券」です。そして、STを発行することで資金調達することをSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)といいます。

この仕組みがもたらすメリットは計り知れません。

  1. 投資の小口化とグローバル化: これまで機関投資家や富裕層の独壇場であった高額な不動産やインフラ資産も、トークン化によって1万円単位など少額から投資可能になります。また、国境を越えた取引が容易になります。
  2. 流動性の向上:売買が困難だった非上場株式や不動産信託などが、デジタル証券として取引所に上場(またはP2Pで取引)できるようになれば、必要な時に売却しやすくなります。
  3. 透明性とコスト削減:ブロックチェーン上に取引履歴が記録されるため透明性が高く、仲介者を減らすことで発行・取引コストの削減が期待できます。

これらのメリットが、単なる理想論ではなく現実的な利益をもたらす段階に入ったと認識されたからこそ、世界中の大手金融機関や規制当局が本格的に動き出しているのです。

【グローバルの動向】鍵は「不動産STO」、大手企業が市場を牽引

世界のSTO市場において、最も活発な動きを見せているのが「不動産」分野です。

グローバルなSTO市場は驚異的な成長を遂げています。Deloitte(デロイト)は、トークン化された不動産のグローバル市場が2024年の3,000億ドル未満から、2035年までに4兆ドルに拡大すると予測しており、ブロックチェーン技術の採用がこの成長を牽引すると見ています。これは、STOの中心的な資産である不動産セクターで非常に大きな成長が見込まれていることを示しています。

こうした予測を裏付けるように、具体的なビジネスも加速しています。
例えば、トークン化プラットフォームのDigiSharesと不動産投資会社のBrickMarkは、機関投資家向けの不動産トークン化を大西洋全域(ヨーロッパと北米)で拡大するための戦略的パートナーシップを締結しました。これは、STOが個人投資家向けだけでなく、プロの機関投資家が参加する市場へと成熟しつつあることを示しています。

【規制の動向】IOSCO(証券監督者国際機構)もDLTを積極調査

STOが健全に発展するためには、投資家保護を目的とした「規制の整備」が不可欠です。この点においても、2025年は重要な進展が見られます。

2025年11月11日、証券監督者国際機構(IOSCO)は、マドリードで開催された会議において、分散型台帳技術(DLT)が証券市場にもたらす機会とリスクについて積極的に探求していることを発表しました。 

IOSCOは、世界各国の証券規制当局が加盟する国際機関です。このIOSCOがDLT、すなわちSTOの基盤技術に注目し、国際的なルール整備に向けて動き出しているという事実は、STO市場の信頼性向上と将来的な市場拡大にとって、極めて強力な追い風となります。

【国内の動向】「セカンダリ市場」の整備が加速

日本国内においてもSTOの動向は活発化しており、2025年10月末時点の発行累計額は2,800億円超に上ります。特に注目すべきは「セカンダリ(流通)市場」の整備です。

STOは発行(オファリング)されるだけでなく、投資家が自由に売買できる「流通市場」があって初めて、そのメリットである「流動性」が発揮されます。

2025年11月11日、株式会社IndieSquareは、ビットコインL2「Liquid Network」上でのRWA(Real-World Assets)トークン発行に関する研究開発を開始したと発表。2025年10月時点で、同ネットワークには既に4,500億円以上の価値がトークン化されており、秘匿トランザクション機能により、プライバシーとトークン運用の透明性を両立させています。

また2025年11月13日、三井物産デジタル・アセットマネジメントは、個人向け資産運用サービス「ALTERNA(オルタナ)」を通じて、計18本のデジタル証券ファンドを発行・運用しており、累計利益分配金は25億円を突破したと発表。最近では、横浜の不動産ファンドを早期償還し、当初想定の年3.5%を大きく上回る年5.0%の投資成果を実現するなど、実績を積み上げています。

これは、これまで個人では投資が難しかったインフラ資産への新たな投資機会を創出するものであり、STOの可能性を具体的に示す好例と言えるでしょう。

まとめ:STOは「実用化」フェーズへ。2025年以降の動向に注目

STO(セキュリティ・トークン・オファリング)の動向を振り返ると、もはや「未来の技術」ではなく、「現在の具体的な投資手段」へと移行していることが明確です。

  • グローバルでは「不動産STO」を軸に、DeloitteやPwCが市場拡大を予測。
  • 規制面では「IOSCO」がDLTの調査に乗り出し、市場の健全化が進展。
  • 国内では「セカンダリ市場」の整備と「具体的なファンド組成」が加速。

2025年以降、STOは資産運用の選択肢として、より身近な存在となっていくことは間違いありません。特に、流動性の低い資産の代表格であった不動産が、トークン化によってどのように変革されていくのか。その動向を引き続き注視していく必要があります。

参考・出典

本記事は、以下の資料を基に作成しました。


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