【速報解説】なぜ世界はKlarnaのデビットカードに注目するのか？その革新的機能とは？

2025.09.05
読了時間目安 3分

「後払い（BNPL）」の代名詞として、私たちの購買体験を大きく変えたKlarna（クラーナ）。その巨人が、ついに新規株式公開（IPO）し、さらに「即時払い」という次なるステージへと舵を切りました。
スウェーデン発のフィンテック企業Klarnaが、2025年9月2日にニューヨーク証券取引所（NYSE）への上場を正式発表し、同時に革新的なデビットカードの欧州展開を開始しました。単なる一企業の成長戦略を超えて、決済・BNPL業界が大きな変革期を迎えていることを示す重要なシグナルです。

結論：「特別な買い物」から「日常の支払い」へ
「すぐ払う」を標準にした新デビットカード
- なぜKlarnaは「後払い」から「即時払い」へ？
まとめ
参考・出典

結論：「特別な買い物」から「日常の支払い」へ

先に結論からお伝えします。Klarnaの動きが示唆しているのは、BNPL業界が「後払い」という単一のサービスから脱却し、日々のあらゆる支払いシーンで使われる総合的な金融・ショッピングプラットフォームへと進化しようとしているという事実です。

かつて高価な商品のための選択肢だったBNPLは、今やスーパーでの買い物や公共料金の支払いといった「日常決済」の領域にまで進出しようとしています。この変化は、業界の競争を新たな次元へと引き上げ、私たちの生活にも大きな影響を与えることになるでしょう。

「すぐ払う」を標準にした新デビットカード

Klarnaはヨーロッパ市場において、従来のBNPLのイメージを覆す「デビット・ファースト・カード」をローンチしました。このカードはデビット・ファーストであり、デフォルトの支払い方法を『後払い』から『今すぐ支払う』へと移行させます。

このカードの最大の特徴は、支払いの初期設定が「Pay Now（即時払い）」である点です。利用者は必要に応じて後払いも選択できますが、基本はデビットカードとして日常的に使うことを想定しており、利用者がお金の消費をコントロールしやすくなります。また、米国でのローンチ後には685,000人の利用者がサインアップしたことからも、需要もあります。

もともとKlarnaアプリ内で「Pay in 3（3回払い）」、「Pay Later（後払い）」、または「より大きな購入のための長期ファイナンス」を選択でき、後払いにも選択肢がありました。そんな中での新デビットカードの登場は、Klarnaがより幅広い顧客層に受け入れられるための巧みな戦略と言えるでしょう。

なぜKlarnaは「後払い」から「即時払い」へ？

Klarnaの使命は「消費者が日常生活でどのように消費し、貯蓄するかを再考する」ことであり、人々の「時間とお金を節約し、経済的な心配を減らす」ことを支援することです。さらに、Klarnaはパーソナライズされた、信頼できるアシスタントとして、シームレスな商取引体験を通じて、誰もがどこでも経済的に自立できる世界をビジョンとしています。
では、なぜKlarnaはこれまでの成功モデルから進化する必要があるのでしょうか。その背景には顧客との接点を増やし、データを活用したいという意図があります。

これまでユーザーがKlarnaのサービスを利用するのは、後払いをしたい時だけです。しかし、デビットカードのように日常的に使われる決済手段を提供できれば、顧客との接点は飛躍的に増加します。これにより、利用頻度の向上はもちろん、より詳細な購買データを収集・分析し、個々のユーザーに最適化された新しい金融サービスやショッピング体験を提供するための前段階となります。これが、顧客を自社経済圏に囲い込むための強力な武器であり、ビジョンを達成するための足掛かりとなるのです。